日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG34] 地球規模環境変化の予測と検出

2024年5月30日(木) 09:00 〜 10:15 103 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:河宮 未知生(海洋研究開発機構)、立入 郁(海洋研究開発機構)、建部 洋晶(海洋研究開発機構)、Ramaswamy V(NOAA GFDL)、座長:建部 洋晶(海洋研究開発機構)、河宮 未知生(海洋研究開発機構)

09:00 〜 09:20

[ACG34-01] 気候モデルMIROC7の開発

★招待講演

*廣田 渚郎1道端 拓朗2山上 遥航3建部 洋晶3鈴木 健太郎4渡部 雅浩4川崎 高雄4新田 友子5齋藤 冬樹3、大越智 幸司3関口 美保6渡辺 真吾3塩竈 秀夫1、小倉 知夫1竹村 俊彦7大野 知紀4阿部 学3芳村 圭5川合 秀明8千喜良 稔1八代 尚1五藤 大輔1 (1.国立環境研究所、2.岡山大学、3.海洋研究開発機構、4.東京大学大気海洋研究所、5.東京大学生産技術研究所、6.東京海洋大学、7.九州大学 応用力学研究所、8.気象庁気象研究所)

キーワード:気候モデル、CMIP7、気候変動予測、エネルギー収支

東京大学/海洋研究開発機構/国立環境研究所を中心に新しい気候モデルMIROC7の開発が進められている。以前のバージョンのMIROC6 は、気候平均場やENSO、MJO、QBO、SSW などの自然変動の表現において優れたパフォーマンスを示した。ただし、MIROC6 にはいくつか重大な課題も残されている。例えば、MIROC6では、水蒸気による温室効果や雲による日傘効果が観測に比べて強く、エネルギー収支に大きなバイアスがある。さらに、雲による地球温暖化の加速効果(雲フィードバック)は、WCRP が評価した確からしい雲フィードバックの値と比較して弱い。 MIROC6 から MIROC7 への改良では、例えば下記の変更を行った: 降水粒子の予測計算する精緻な雲・降水スキーム、放射パラメータとスキームの更新、海洋混合や海氷プロセスの扱いの精緻化。初期結果では、エネルギー収支のバイアスが軽減され、雲フィードバックによる温暖化加速効果が強くなった。雲の表現が改善され、雲のフィードバックが WCRP 評価とより整合的になったので、MIROC7 による気候変動予測は、以前のバージョンによる予測と比較してより信頼性が高くなっていると考えることができる。今後は、CMIP7に向けて、更なる開発を進める。
謝辞:本研究は文部科学省気候変動予測先端研究プログラムJPMXD0722680395の助成を受けたものです。数値実験には海洋研究開発機構のEarth Simulatorと国立環境研究所のNEC SX-AURORAを用いた。