日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG34] 地球規模環境変化の予測と検出

2024年5月30日(木) 10:45 〜 12:00 103 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:河宮 未知生(海洋研究開発機構)、立入 郁(海洋研究開発機構)、建部 洋晶(海洋研究開発機構)、Ramaswamy V(NOAA GFDL)、座長:立入 郁(海洋研究開発機構)、河宮 未知生(海洋研究開発機構)

11:00 〜 11:15

[ACG34-06] 人新世における海洋へのエアロゾル鉄沈着の全球モデル研究

*伊藤 彰記1 (1.海洋研究開発機構)

キーワード:水溶性鉄、人為起源エアロゾル、鉱物ダスト、大気汚染

人為起源、森林火災起源、及び鉱物起源のエアロゾルは、植物プランクトンの成長にとって重要な栄養塩(鉄)を供給する。それにより、植物プランクトンを起点とした食物連鎖を通して海洋生態系および気候へ影響を与える。しかし、鉄(Fe)を運ぶエアロゾルの発生源固有の評価が十分になされていない。そのため、それらの発生源の寄与率推定には多大な不確実性が存在する。特に南大洋域で、エアロゾル中溶存鉄の質量濃度の観測データを過小評価することから、数値モデルで考慮されていない発生源の存在及び鉄溶出速度の過小評価などの問題点が指摘されている。本発表では、自身の研究と近年の動向を踏まえ、大気エアロゾル中の鉄が大気中(発生・変質・放射・沈着過程)から沈着後(生物利用可能性としての海水への溶出過程)、どのように海洋生態系に影響を及ぼすのか、についてレビューし、今後の研究課題に関して報告する。特に、大気エアロゾル数値モデルの開発過程における室内実験および屋外観測との統合的研究内容に焦点を当てる。