[A-CG36] 衛星による地球環境観測

[ACG36-P21] 全球降水プロダクトの長期トレンドの解析

*高橋 暢宏¹ (1.名古屋大学　宇宙地球環境研究所)

キーワード：降水観測、衛星搭載降水レーダ、長期トレンド

全球降水プロダクトは古くは静止気象衛星ベースのGPCPが1979年以降の40年に渡るデータセット提供している。その後、マイクロ波放射計と静止気象衛星のデータを組み合わせたデータセットがTRMM打ち上げ以降の1998年から約25年のデータ提供しており（GSMaP, IMERG)、20年超の長期トレンド解析に資することが可能になってきている。本研究では、GSMaPを中心に降水の長期トレンドの解析を行った。同様に20年以上の全球データの蓄積のあるGRACE、GRACE FOの観測したwater equivalent thicknessやCERESの観測したTOAにおける放射収支のトレンドとの比較も行った。
使用したデータは、GSMaP Gauge(V8)の降水、TRMMおよびGPMのKu帯レーダによる降水、GPCP（V3.2)の降水、GRACE、CERES EBAF の月平均プロダクトである。解析は、それぞれのプロダクトの全期間および月毎のデータ長期トレンドとそれらのトレンドの相関を調べた。
解析の結果、GSMaP、GPCPとも熱帯太平洋では有意なトレンドを示した。特に東太平洋の傾向は、CERESでの結果（Loeb et al., 2022等）と類似している。この結果は降水レーダ（TRMM/PR、GPM/KuPR）によっても確認されている。一方でそれ以外の地域では、特に高緯度で有意なトレンドを示していたが、同じ傾向を示さなかった。月毎のトレンドを見ると、東太平洋のトレンドは、10月から12月に出現していたことがわかる。
さらに月毎のトレンドを見ると、12月の海洋大陸付近、5月インド洋、6月、11月の南太平洋、等で有意なトレンドが見られた。
この解析からは、GRACEと降水プロダクトの間では明確な一致は見られなかったが、時間的なラグ等を考慮した解析が必要であると考える。