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[ACG36-P22] 全球高解像度版地表水マップ(GSMaWS Version4)の開発
キーワード:地表水、マイクロ波放射計、洪水氾濫
全球地表水マップ(GSMaWS)は、マイクロ波放射計の観測輝度温度をもとに算出した地表水の時空間変動を表わすプロダクトである。GSMaWSのVersion1は、マイクロ波放射計GMIとAMSR2を用いて2013~2017年の全球を対象に、空間分解能0.1度で作成された(Seto and Mine 2018)。その後、SSMISを加えて期間の拡張を行っている(Yamamoto et al. 2024)。NDFIは、18.7GHzの垂直偏波輝度温度(TB18.7V)と23.8GHzの垂直偏波輝度温度(TB23.8V)から、NDFI=(TB23.8V-TB18.7V)/(TB23.8V+TB18.7V)として算出される。NDFIを0.06で割った値をフットプリントの冠水率とした。次に、GSMaWSのVersion2は、GMIとAMSR2を用いて2015~2019年の日本域を対象に、空間分解能1.5秒で作成した(Seto 2020)。高空間分解能化のため、あらかじめ1.5秒格子ごとに冠水しやすさの指標を求める。国土数値情報の土地利用データと浸水想定区域データを用いて、1.5秒格子の冠水可能性レベルを定めた。例えば、レベル0は海洋、レベル1は河川、レベル2は水田、レベル8はそのほかの土地被覆で想定浸水区域外に割り当てられる。格子の冠水確率の平均がNDFIから求めたフットプリントの冠水率と一致するように、フットプリント内の格子をレベル番号の小さい方から冠水させる(冠水確率を1とする)。あるレベルにおいて、すべての格子を冠水させるとフットプリントの冠水率を超える場合は、当レベルの格子における冠水確率として0~1の値を設定する。GSMaWSのVersion3は、2015~2019年のタイを含む領域(5-25N, 90-110E)を対象に、空間分解能30秒(約1km)で作成した。冠水可能性を求めるためのデータの制約から、Version2に比べて空間分解能が粗い。
本研究では、GSMaWSのVersion4として、全球を対象に空間分解能15秒の地表水マップを作成した。土地被覆データとして、GLCNMO(Kobayashi et al. 2017)を用いた。また、Global Surface Water(GSW; Pekel et al. 2017)の冠水割合データと、Zhou et al. (2021)がCaMa-Floodのシミュレーション結果から算出した氾濫頻度データ(CMF)を組み合わせて用いた。GSWは可視・赤外センサによる観測を用いているため、植生下の地表水を検出できない場合がある。一方、CMFは外水氾濫のシミュレーションのため、内水氾濫など他の原因による地表水を検出できない場合がある。互いの欠点を補うために、GSWとCMFの示す確率のうち大きい値を取りFとする。土地被覆データで水面と示される格子またはF=100%の場合は冠水可能性レベル0であり、以下Fの値に応じてレベル1~11を定める。レベル11はF=0%の場合である。次に、NDFIと冠水率の関係式を作成する。NDFIは、降水強度や地表面温度に影響を受けることから、GSMaP Version7による降水強度データ、Today’s Earthによる数値シミュレーションで求めた地表面温度データを利用した。降水強度0.1mm/h以上の場合を除き、地表面温度1℃、1か月、センサ、軌道タイプ(上昇/下降)別に、NDFIとフットプリント内の冠水可能性レベル0の格子割合の関係を求め、これをNDFI-冠水率関係式とした。次に、瞬時のNDFIからフットプリントの冠水率を求め、冠水可能性レベルに従いフットプリント内の15秒格子に冠水確率を割り当てた。AMSR2、GMI、SSMIS(F16、F18)を用いて2018年を対象にプロダクトを作成した(図は2018年7月1日のアマゾン川下流部の冠水確率を示す)。
本研究では、GSMaWSのVersion4として、全球を対象に空間分解能15秒の地表水マップを作成した。土地被覆データとして、GLCNMO(Kobayashi et al. 2017)を用いた。また、Global Surface Water(GSW; Pekel et al. 2017)の冠水割合データと、Zhou et al. (2021)がCaMa-Floodのシミュレーション結果から算出した氾濫頻度データ(CMF)を組み合わせて用いた。GSWは可視・赤外センサによる観測を用いているため、植生下の地表水を検出できない場合がある。一方、CMFは外水氾濫のシミュレーションのため、内水氾濫など他の原因による地表水を検出できない場合がある。互いの欠点を補うために、GSWとCMFの示す確率のうち大きい値を取りFとする。土地被覆データで水面と示される格子またはF=100%の場合は冠水可能性レベル0であり、以下Fの値に応じてレベル1~11を定める。レベル11はF=0%の場合である。次に、NDFIと冠水率の関係式を作成する。NDFIは、降水強度や地表面温度に影響を受けることから、GSMaP Version7による降水強度データ、Today’s Earthによる数値シミュレーションで求めた地表面温度データを利用した。降水強度0.1mm/h以上の場合を除き、地表面温度1℃、1か月、センサ、軌道タイプ(上昇/下降)別に、NDFIとフットプリント内の冠水可能性レベル0の格子割合の関係を求め、これをNDFI-冠水率関係式とした。次に、瞬時のNDFIからフットプリントの冠水率を求め、冠水可能性レベルに従いフットプリント内の15秒格子に冠水確率を割り当てた。AMSR2、GMI、SSMIS(F16、F18)を用いて2018年を対象にプロダクトを作成した(図は2018年7月1日のアマゾン川下流部の冠水確率を示す)。