日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG36] 衛星による地球環境観測

2024年5月27日(月) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:沖 理子(宇宙航空研究開発機構)、本多 嘉明(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、松永 恒雄(国立環境研究所地球環境研究センター/衛星観測センター)、高橋 暢宏(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)

17:15 〜 18:45

[ACG36-P23] 迅速な洪水浸水域推定のためのマルチソースリモートセンシングデータを活用した自己教師あり学習フレームワーク

*田中 智大1堤田 成政1 (1.埼玉大学)

キーワード:災害、深層学習、センチネル

洪水は最も一般的な自然災害の一つであり、人的および経済的に大きな損失を引き起こす。気候変動と急速な都市化の影響で、これらのリスクは近年増大し、効果的かつ迅速な災害対応が求められている。災害時の迅速かつ正確な被害状況の把握は、救助活動の実施や被害の最小化に必要である。洪水のような広範囲の被害を把握するには地球観測が有用であるが、衛星モニタリングは通常、合成開口レーダー(SAR)またはマルチスペクトル(MS)センサーのいずれかから得られる単一のデータソースに依存しており、観測の頻度や地表面モニタリング能力の限界が迅速な洪水浸水域の把握を困難にしている。そこで本研究では、マルチソースのリモートセンシング画像と深層学習(DL)を組み合わせた新しい洪水浸水域推定手法を提案する。SARとMSデータを自己教師あり学習(SSL)フレームワークで統合するDLアーキテクチャにより、発災時、発災後に入手可能となるいずれかのデータを使用して洪水浸水域の推定を可能とした。性能検証のため、2019年のスペインでの洪水イベントデータを使用し、Sentinel-1およびSentinel-2の画像を用いて、モデルを構築した。その結果、Sentinel-1のみ、Sentinel-2のみを使用した洪水浸水域の推定精度(IoU)はそれぞれ0.60, 0.81となった。提案手法はSentinel画像に限定されないため、より高頻度の観測コンステレーション衛星データへの適用も検討できる。これによりさらに迅速かつ正確な洪水浸水域の推定を可能にし、災害対応支援への貢献が期待される。