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[ACG38-02] 東シナ海におけるスジアラ生息域の拡大過程の推定
キーワード:スジアラ卵仔魚、双方向粒子追跡実験、生息域拡大、着底期間、東シナ海
近年,地球温暖化に起因した様々な魚種の生息域の北上が報告されている(例えば,山川ら 2020).東シナ海におけるスジアラの生息域に関しても,かつては甑島が北限とされてきたが,現在は対馬や五島列島でも漁獲報告がある.本研究では,双方向の粒子追跡実験により,対馬・五島・甑島産スジアラ卵仔魚の起源を調べることで,スジアラ生息域の拡大過程を推定することを目的とした.
卵仔魚の輸送過程を推定するために用いた海況データは,九州大学応用力学研究所で開発されたData assimilation Research of the East Asian Marine System (DR_M; Hirose et al., 2013)ある.本研究では,空間解像度約7 kmの日平均値として提供されているデータセットと,Kako et al. (2014)と同様の粒子追跡モデルを組み合わせて,スジアラの起源を推定した.また,漂流期間をそれぞれ30日(実験30日)と,60日(実験60日)と,60日と設定した上で,奥山ら (未発表) の経験水温に基づく体長推定式を用いてモデル内における仔魚の成長過程を考慮(実験S60日)した3つの実験を行った.
対馬・五島・甑島を対象とした起源推定結果の結果から,実験30日においては南薩摩市の笠沙付近,実験S60日(実験60日)では中国・台湾が南限であることがわかった.モデル内において仔魚の体長が25 mm(着底すると言われているサイズ)に達するのに要した日数は,おおよそ40-50日であり,奥山らが示した結果とよく一致した.Doherty (1994)らが示したように,漂流期間を30日とした場合は,仔魚の体長は15 mmにも満たなかった. しかしながら,現実の環境と体長推定式を算出するために行った飼育環境とでは,生育速度に差がある可能性も存在するので,今後は,ライトトラップ等で着底したばかりの天然の仔魚を捕獲し,日齢を調べることで着底までの期間を明らかにするとともに,体長推定式の精度を検証する必要がある.
卵仔魚の輸送過程を推定するために用いた海況データは,九州大学応用力学研究所で開発されたData assimilation Research of the East Asian Marine System (DR_M; Hirose et al., 2013)ある.本研究では,空間解像度約7 kmの日平均値として提供されているデータセットと,Kako et al. (2014)と同様の粒子追跡モデルを組み合わせて,スジアラの起源を推定した.また,漂流期間をそれぞれ30日(実験30日)と,60日(実験60日)と,60日と設定した上で,奥山ら (未発表) の経験水温に基づく体長推定式を用いてモデル内における仔魚の成長過程を考慮(実験S60日)した3つの実験を行った.
対馬・五島・甑島を対象とした起源推定結果の結果から,実験30日においては南薩摩市の笠沙付近,実験S60日(実験60日)では中国・台湾が南限であることがわかった.モデル内において仔魚の体長が25 mm(着底すると言われているサイズ)に達するのに要した日数は,おおよそ40-50日であり,奥山らが示した結果とよく一致した.Doherty (1994)らが示したように,漂流期間を30日とした場合は,仔魚の体長は15 mmにも満たなかった. しかしながら,現実の環境と体長推定式を算出するために行った飼育環境とでは,生育速度に差がある可能性も存在するので,今後は,ライトトラップ等で着底したばかりの天然の仔魚を捕獲し,日齢を調べることで着底までの期間を明らかにするとともに,体長推定式の精度を検証する必要がある.