[A-CG38] 沿岸海洋生態系－2．サンゴ礁・藻場・マングローブ

[ACG38-04] 亜熱帯海域における海草藻場の栄養塩吸収・放出特性の評価

*鈴木 健斗¹、梅澤 有¹、上羽 遼太郎¹、梅林 奎輔¹、宮田 達¹、栗原 晴子²、宮島 利宏³ (1.東京農工大学、2.琉球大学、3.東京大学)

温暖化と様々な直接的人為影響により、熱帯・亜熱帯の浅海域に生息するサンゴ群集の衰退が報告されている。一方、サンゴ礁の陸域側では海草藻場やマングローブ林などが、高濃度の栄養塩を吸収したり、懸濁物を捕捉したりし、さらには、分解した有機物を再び栄養塩として放出したりする。これらの海草藻場の機能は、沖側に広がるサンゴ群集への汚染負荷を低減し良好な環境を提供することが期待されるが、定量的な知見が不足している。本研究では、地下水流入による栄養塩負荷に対する、海草藻場の水中―堆積物境界面での時間変化による栄養塩フラックスの評価を行うことを目的とした。
２０２３年７月に沖縄県備瀬サンゴ礁にて、９月に石垣島名蔵湾にてチャンバー実験を行った。チャンバー実験では、現場に優占的にみられる２種の海草：リュウキュウスガモ（Thalassia hemprichii）とリュウキュウアマモ（Cymodocea serrulata）を明暗条件に分けたうえでチャンバーをかぶせて閉鎖系とし、地下水流入を想定した栄養塩濃度になるように添加後、栄養塩やDIC、DO濃度の分析用海水の採水を4回（0, 15, 30, 60分後）行った。また、海草のみの栄養塩フラックスを調査するために、実験室水槽にてボトル実験を行った。
チャンバー実験の分析を行った結果、時間変化に従い栄養塩吸収速度が減少し、暗条件より明条件にて栄養塩を吸収する傾向がみられた。栄養塩フラックスの変動要因として、栄養塩濃度や光量、チャンバー内の海草葉面積、堆積物からの溶出等観点から考察して発表を行う。