[A-CG47] 全球海洋観測システムの現状と将来：OneArgoの実現と展望

[ACG47-05] OneArgoの実現にむけた課題と他観測との連携の重要性（総合討論）

*細田 滋毅¹ (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構)

キーワード：OneArgo、UN Decade

高解像度数値モデルを用いた解析や予測が進む中、観測により全球海洋内部の実態を把握することはさらに重要性を増している。OceanObs19で提案されたOneArgoは、これまでのCore Argoフロート展開に加え、Deep（深海）やBGC （生物地球科学） Argoフロート観測を統合的に観測・運用するプラットフォームとして、各国連携のもと構築が進められている。さらに2021年から開始されたUN Decade（国連海洋科学の10年）プロジェクトに採用されているように、他の観測プラットフォームや、新たな分野間との連携も期待されている。近年の燃油高騰や人的物的リソースの減少、国内外の環境や情勢の変化に伴い、従前からの観測の実施が難しくなってきている昨今、共通のプラットフォームの効率的な運用や、新たな研究分野、産業活動の創出という観点でも、OneArgoは重要視されつつある。
日本国内では、Argoに関してはJAMSTECと気象庁が中心になって展開、運用しているが、全球規模のArgoデータを活用した研究が多数提供されているだけでなく、近年科研費等で地域的にArgoフロートを展開し時空間的に密な海洋特性の把握を指向するとともに、Argoのデータフローに掲載を希望する研究課題も少しづつ増えている。また、技術開発面でも、新たなセンサー、フロートの開発も推進、検討されており、国内での技術開発推進の加速にも貢献する必要不可欠な研究プラットフォームとして認識されている。
文部科学省「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想（ロードマップ2023）」へOneArgoが掲載され、今後海洋学における大規模プロジェクトの動きが加速されることが予想される一方、限りあるリソースの中で、今後国内でOneArgoをどのように推進し他分野と連携していくのか、これまでの枠にとらわれずに検討することが重要である。これらの状況に関する情報を共有しつつ、若手研究者も交えて海洋観測のあり方を議論したい。