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[AHW22-P14] 福島県浪江町および双葉町の沢水と河川水による放射性Cs移行量
キーワード:放射性セシウム、河川水、浮遊砂 、溶存イオン、多元素、東京電力 福島第一原子力発電所
東京電力福島第一原子力発電所事故に伴い、約10×1015 Bqのセシウム-137(137Cs)が環境へ放出され (Terada et al., 2020)、そのうちの約3割の約2.7×1015 Bqが陸域に沈着した(Onda et al., 2020)。福島県の土地利用ごとの137Csの蓄積量は、森林が約74%と最も高い(Kato et al., 2019)。森林土壌中のCsは粘土鉱物に強く吸着する一方で、河川水の懸濁物質は主に森林土壌であり(Arai et al., 2021)、懸濁物質に吸着したCsも森林から河川へと継続的に移行していると考えられる。従って、源流域やその周辺河川の放射性Cs(134Cs、137Cs)データを継続して得ることが陸域でのCs移行量を明らかにする上でも重要である。
そこで本研究では、流域が森林で覆われている(JAXA高解像度土地利用被覆図,https://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/jp/dataset/lulc_j.htm)、福島県浪江町の十万山や猿田川、双葉町の前田川上流を対象とし、沢水や河川水中の存在形態(溶存態、懸濁態(粒径0.45μm以上)、浮遊砂)ごとの放射性Cs濃度を測定し、137Cs移行量を算出した。さらに、溶存態放射性Cs濃度と溶存有機炭素、溶存イオン(Ca2+、NO3-など)との関係、浮遊砂中放射性Csと元素 (Ca、SrやMoなど)との濃度の相関性について明らかにすることを目的とした。
猿田川中流の地点における、2023年6月から8月の浮遊砂中の137Cs移行量を試算した結果、1.36×108-1.79×108Bq/monthであった。2020年12月の福島県内の浜通りの9河川での浮遊砂中の137Cs移行量(2.98×106-8.45×109 Bq/month, Fan et al., 2024)の範囲内にあった。一方で、2019年9月と2020年7月の出水時(3回)における新田川、前田川や高瀬川の懸濁態137Cs 移行量(0.227×109-18.8×109 Bq/event, Niida et al., 2022) より約1桁低い値であった。今回得られた浮遊砂中の月間の137Cs移行量は、水位や流量の変化を考慮しても平水時の値を示していると考えられる。
そこで本研究では、流域が森林で覆われている(JAXA高解像度土地利用被覆図,https://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/jp/dataset/lulc_j.htm)、福島県浪江町の十万山や猿田川、双葉町の前田川上流を対象とし、沢水や河川水中の存在形態(溶存態、懸濁態(粒径0.45μm以上)、浮遊砂)ごとの放射性Cs濃度を測定し、137Cs移行量を算出した。さらに、溶存態放射性Cs濃度と溶存有機炭素、溶存イオン(Ca2+、NO3-など)との関係、浮遊砂中放射性Csと元素 (Ca、SrやMoなど)との濃度の相関性について明らかにすることを目的とした。
猿田川中流の地点における、2023年6月から8月の浮遊砂中の137Cs移行量を試算した結果、1.36×108-1.79×108Bq/monthであった。2020年12月の福島県内の浜通りの9河川での浮遊砂中の137Cs移行量(2.98×106-8.45×109 Bq/month, Fan et al., 2024)の範囲内にあった。一方で、2019年9月と2020年7月の出水時(3回)における新田川、前田川や高瀬川の懸濁態137Cs 移行量(0.227×109-18.8×109 Bq/event, Niida et al., 2022) より約1桁低い値であった。今回得られた浮遊砂中の月間の137Cs移行量は、水位や流量の変化を考慮しても平水時の値を示していると考えられる。