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[AHW24-P05] 水質・安定同位体比及び水理地質構造から推定される赤池及びその周辺地域の地下水流動特性
キーワード:一時的湖沼、水質、安定同位体、水理地質
赤池は、大雨が降ると富士山北麓に出現する一時的湖沼である。これまでの研究において、2020年及び2021年に出現した赤池の水質及び環境同位体の分析から、赤池の水の起源が直近の降雨にあり、地下深部に浸透することなく比較的短期間で流入したものであることが明らかとなった。また、2021年の赤池出現時の降雨量は2020年の約半分であったにもかかわらず、2021年の赤池の主要溶存イオン濃度は2020年に比べ低くなっており、降雨量の違いが赤池へ流入する地下水の流動速度及び地下水量に影響を与えていた可能性が示唆された。しかしながら、赤池ではこれまで水文学的な観測が行われておらず、その発生条件や出現メカニズムの詳細には不明な点が多く残されている。そこで本研究では、赤池中心部に2本の観測井を設置し(深度1.45 m及び2.7 m)、地下水位の観測及び水質・水の安定同位体比分析から赤池の地下水の水質特性の解明を試みた。更に、検土杖による簡易ボーリング調査を行い、赤池の水理地質構造と地下水の水質特性との関係を検討した。
観測井での地下水調査の結果、赤池では地下水水質が井戸の深さにより異なっており、涵養源の異なる2つの地下水が存在していることが明らかとなった。また、ボーリング調査の結果、赤池では地下2.6〜2.8 mに位置する青木ヶ原溶岩及び基盤岩上に、下位より灰褐色粘土層(層厚0.85〜1.26 m)、黒色粘土層(層厚0.45〜0.65 m)、白色粘土層(層厚0.8〜1 m)、茶褐色土壌(層厚約0.5 m)の堆積が確認された。粘土層中には、中位の黒色粘土層を除き大量の珪藻化石が含まれており、水中での堆積が示唆された。黒色粘土層中から産出した植物遺骸の14C年代は925 ± 21 yr BPであり、この時期に一時的に陸化したものと考えられる。地下水水質の違いについて、上述の水理地質構造を考慮すると、黒色粘土層を境に上部では透水係数の高い溶岩斜面浅部を側方流動する水が地下水の起源となっていると考えられる。一方、黒色粘土層より下部では、水同位体比が月単位の変化を示すことから、溶岩本体を通じたより広域的な地下水流動が示唆される。
観測井での地下水調査の結果、赤池では地下水水質が井戸の深さにより異なっており、涵養源の異なる2つの地下水が存在していることが明らかとなった。また、ボーリング調査の結果、赤池では地下2.6〜2.8 mに位置する青木ヶ原溶岩及び基盤岩上に、下位より灰褐色粘土層(層厚0.85〜1.26 m)、黒色粘土層(層厚0.45〜0.65 m)、白色粘土層(層厚0.8〜1 m)、茶褐色土壌(層厚約0.5 m)の堆積が確認された。粘土層中には、中位の黒色粘土層を除き大量の珪藻化石が含まれており、水中での堆積が示唆された。黒色粘土層中から産出した植物遺骸の14C年代は925 ± 21 yr BPであり、この時期に一時的に陸化したものと考えられる。地下水水質の違いについて、上述の水理地質構造を考慮すると、黒色粘土層を境に上部では透水係数の高い溶岩斜面浅部を側方流動する水が地下水の起源となっていると考えられる。一方、黒色粘土層より下部では、水同位体比が月単位の変化を示すことから、溶岩本体を通じたより広域的な地下水流動が示唆される。