17:15 〜 18:45
[AHW25-P04] 東京都品川区の東京湾岸低地の浅層地下水から検出されたマイクロプラスチック
キーワード:東京湾岸低地 、都市域 、浅層地下水 、マイクロプラスチック 、下水漏水
東京湾岸低地の品川区北品川地区の浅層地下水を対象に,都市の地下水の起源や水質形成プロセスの解明を目的とした研究を実施中である。本発表では,その過程において浅層地下水中から検出されたマイクロプラスチック(以下,MPs)について報告する。
2021年8月(夏季豊水期)に,北品川地区の7地点の井戸(深度12 m以浅)で現地調査・採水を行い,都市の浅層地下水の涵養源と考えられる降水浸透水・水道漏水・下水漏水の地下水涵養に果たす役割(寄与率)を,水の酸素安定同位体比と塩化物イオン濃度に基づく3成分混合解析により算出した。続いて,翌年2022年8月に,地下水中のMPsの存在有無の確認を目的に,地下水涵養に果たす下水漏水の寄与率が2021年8月に最大であった地点N2(48%)と最小であった地点N4(4%)において浅層地下水を再度採水・分析した。その結果,地点N2では260 mLの試料水中から29本(112本/L),また地点N4では780 mLの試料水中から7本(9本/L)の繊維状残渣が検出された。代表的な5本の繊維状残渣を選び,FT-IR(フ―リエ変換赤外分光光度計)で同定したところ,いずれもPolyacrylonitrileやPolyesterといったMPsであることが明らかとなった。ここで,繊維状残渣の密度(地点N2:112本/L,地点N4:9本/L)は2021年8月の下水漏水の寄与率(地点N2:48%,地点N4:4%)と整合的である。さらに,北品川地区の浅層地下水からは大腸菌,陰イオン界面活性剤や医薬品類といった人為起源物質が検出される(伊東ほか,2022)ことから,今回,浅層地下水中から検出されたMPsが下水漏水由来であることは間違いないものと判断される。
浅層地下水中のMPs濃度と地下水涵養に果たす下水漏水の寄与率の関係をさらに詳細に検討するため,2024年1月に 7地点の地下水を改めて採水し,現在分析を進めているところである.当日はその結果も併せて報告する。東京湾岸低地の浅層地下水中のこれらのMPsは,地下水流動に伴って最終的には東京湾に流出するものと考えられる。海洋へのMPs負荷に関しては,これまで河川水経由のものしか検討されてこなかったが,今後地下水経由で海洋にもたらされるMPs負荷についても注目する必要があることを本研究の結果は強く示唆している。
2021年8月(夏季豊水期)に,北品川地区の7地点の井戸(深度12 m以浅)で現地調査・採水を行い,都市の浅層地下水の涵養源と考えられる降水浸透水・水道漏水・下水漏水の地下水涵養に果たす役割(寄与率)を,水の酸素安定同位体比と塩化物イオン濃度に基づく3成分混合解析により算出した。続いて,翌年2022年8月に,地下水中のMPsの存在有無の確認を目的に,地下水涵養に果たす下水漏水の寄与率が2021年8月に最大であった地点N2(48%)と最小であった地点N4(4%)において浅層地下水を再度採水・分析した。その結果,地点N2では260 mLの試料水中から29本(112本/L),また地点N4では780 mLの試料水中から7本(9本/L)の繊維状残渣が検出された。代表的な5本の繊維状残渣を選び,FT-IR(フ―リエ変換赤外分光光度計)で同定したところ,いずれもPolyacrylonitrileやPolyesterといったMPsであることが明らかとなった。ここで,繊維状残渣の密度(地点N2:112本/L,地点N4:9本/L)は2021年8月の下水漏水の寄与率(地点N2:48%,地点N4:4%)と整合的である。さらに,北品川地区の浅層地下水からは大腸菌,陰イオン界面活性剤や医薬品類といった人為起源物質が検出される(伊東ほか,2022)ことから,今回,浅層地下水中から検出されたMPsが下水漏水由来であることは間違いないものと判断される。
浅層地下水中のMPs濃度と地下水涵養に果たす下水漏水の寄与率の関係をさらに詳細に検討するため,2024年1月に 7地点の地下水を改めて採水し,現在分析を進めているところである.当日はその結果も併せて報告する。東京湾岸低地の浅層地下水中のこれらのMPsは,地下水流動に伴って最終的には東京湾に流出するものと考えられる。海洋へのMPs負荷に関しては,これまで河川水経由のものしか検討されてこなかったが,今後地下水経由で海洋にもたらされるMPs負荷についても注目する必要があることを本研究の結果は強く示唆している。