17:15 〜 18:45
[AOS14-P04] 中央モード水の形成・循環のさらなる理解に向けて

キーワード:中央モード水、北太平洋、中規模渦
北太平洋には、低渦位で特徴づけられる水塊である、モード水が複数存在している。その中でも、中央モード水(CMW)は σθ = 26.0–26.5 kg m−3のpycnostad (Nakamura, 1996)、あるいは10°–13°C のthernostad(Suga et al., 1997)として初めて報告された。その後、Oka and Suga, (2005)はCMWがσθ = 25.8–26.2 kg m−3の軽いタイプのモード水(L-CMW)とσθ = 26.3–26.4 kg m−3の重いタイプのモード水(D-CMW)の2つ分けられることを示した。CMWの分布の様子は、通気温度躍層理論とほぼ整合していることが気候値データ(Suga et al, 2004, 2008)によって示されてきたが、 Oka et al., (2009)は、船舶によるシノプティックな観測結果から、黒潮続流を南向きに横切るようなメソスケールのサブダクションが生じていることを示唆した。 Suga et al., (2013)は移行領域モード水(TRMW)とD-CMWの形成域・分布域を縦断するシノプティックなXCTD観測断面と気候値データ比較から、亜寒帯前線域とその周辺で形成され、沈み込んだ低渦位水の一部は中規模渦によって平均流を横切って南に運ばれることを示唆した。福島第一原発事故由来の放射性核種の海洋内部の広がり方(Aoyama et al., 2016)からも、中規模渦以下のメソスケールの過程による、平均流の流線を横切る向きへのCMWの輸送が示唆されている。Nakano et al., (2021)は渦解像全球海洋モデルを用いてラグランジュ的粒子追跡を行ったところ、L-CMWの一部が沈み込みと渦の影響により、黒潮続流を横切り2年以内に137°E区間に輸送されていることを示唆した。
亜熱帯循環北縁部で形成されたCMWが循環系内部に広がる過程についての知見は断片的であり、統一的な描像は確立していない。今回の発表では、この問題に関連するこれまでの研究をレビューし、課題を整理して、その解決に向けたアプローチを検討する。
亜熱帯循環北縁部で形成されたCMWが循環系内部に広がる過程についての知見は断片的であり、統一的な描像は確立していない。今回の発表では、この問題に関連するこれまでの研究をレビューし、課題を整理して、その解決に向けたアプローチを検討する。