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[BCG05-04] ナノプスラスチックが有孔虫に与える影響評価
キーワード:ナノ・プラスチック、有孔虫、共焦点レーザー顕微鏡、発現遺伝子比較解析
プラスチックごみの海洋流出は、人類が対処すべき喫緊の環境問題である。海洋に流出したプラスチックごみは、マイクロ〜ナノサイズに破砕されながら海流により運搬され、海洋全体に広がることが知られている。ナノサイズ化したプラスチックは、表面積が増えることでその物性や化学特性が変化し、毒性が高くなると考えられている。近年、ナノ・プラスチックの毒性が様々な研究で検証されており、特にカルボキシル基とアミノ基修飾により粒子が正・負の帯電をもつ2種類のポリスチレンは、より高い毒性を示すと予測されてきた。こうしたナノ・ポリスチレン粒子の生物毒性は、活性酸素(ROS)の発生や脂質極性の変化などが知られているが、その毒性が実際にどのような代謝を介して起こっているかはよくわかっていなかった。そこで、本研究では体サイズが大きく単細胞であるため、細胞観察が容易で代謝課程を追いやすい有孔虫をモデル生物として、毒性の代謝経路の解明に取り組んだ。実験対象生物として継代培養株のAmmonia venetaを用い、カルボキシ末端ポリスチレンとアミノ末端ポリスチレンを1 ppm含んだ人工海水にそれぞれに曝露し、継時変化(1,6,24時間後)を観察した。細胞観察は3種類の蛍光プローブ(ROSを蛍光標識するCellROX@Green、中性/酸性小胞を蛍光標識するアクリジン・オレンジ、中性/極性脂質を蛍光標識するナイル・レッド)を用いて共焦点レーザー顕微鏡で行った。さらに、同じ継時実験において、各々の曝露条件下から3個体ずつ、個体別に発現遺伝子比較解析を行ない、毒性に関する遺伝子群の同定とそれらの代謝経路を明らかにした。
