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[BCG06-P08] グリーンランド北西部中原生界堆積岩における分子化石を用いた古生態系復元

キーワード:中原生代、バイオマーカー、バクテリア、パリノモルフ、グリーンランド
体化石の古生物学研究から中原生界は火成活動による長期温暖環境でシアノバクテリア・藻類のような海洋基礎生産者が繁茂したとされている。また分子生物学的な検討から提案された真核生物のビッグバン仮説(Philippe and Adoutte, 1998)が起こったとされる時代に含まれ、古生物学記録と比較して議論されている。一方バイオマーカー研究では、当時の海洋生態系においてバクテリアが支配的であったが、真核藻類を起源とするバイオマーカーは極端に少なく、分子時計および化石記録との矛盾が課題となっている(Brocks et al., 2023)。そこで本研究では、中原生界堆積岩のバイオマーカー分析および有機質微化石(パリノモルフ)観察から、おもに海生生物記録を通した海洋古生態系を復元した。
分析試料はグリーンランド北西部・テューレ堆積盆のDundas層群Qaanaaq層の灰色頁岩を用いた。バイオマーカー分析では、有機溶媒抽出とシリカゲルクロマトグラフィーによるカラム分けの後、GC-MSによる分析を行った。またパリノモルフ分析では、HCl/HF処理によってケロジェン分離を行い顕微鏡で観察した。試料は、2018年および2019年の7~8月に北極域研究推進プロジェクト(ArCS)事業の一環として採取した。
バイオマーカー分析の結果、シアノバクテリア起源とされる2-メチルホパン、シュードモナス属バクテリア起源とされるαNATT(13α(n-alkyl)-tricyclic terpane)、起源不明のバクテリア由来とされるTT(13β(H), 14α (H)-tricyclic terpane)、真核藻類起源とされるステランおよびカダレンが検出された。バクテリアの総量に対するシアノバクテリアの割合を示す2-メチルホパン指標(2-MHI)は、全層準で高い値を取っており、一貫してシアノバクテリアの寄与が大きかったことが示された。またαNATTおよびTTは上位(若い年代)にかけて減少傾向が見られた。さらにステランおよびカダレンは最上位層で濃度が急激に高くなっており、真核藻類が急増したと考えられる。このことから、シアノバクテリア主体だった基礎生産において真核藻類の寄与が高まった可能性が示唆された。
パリノモルフ分析の結果、おもにアクリターク(Leiosphaeridia sp., Synsphaeridium sp., Satka sp., Navifusa majensi, Simia sp., Lophosphaeridium sp., Schizofusa sp.)が観察された。それらの群集組成が層準によって変化し、海洋環境および生態系の変化を反映していると推察した。このパリノモルフ記録はシアノバクテリア主体のバイオマーカー記録と調和的であると考えられる。
分析試料はグリーンランド北西部・テューレ堆積盆のDundas層群Qaanaaq層の灰色頁岩を用いた。バイオマーカー分析では、有機溶媒抽出とシリカゲルクロマトグラフィーによるカラム分けの後、GC-MSによる分析を行った。またパリノモルフ分析では、HCl/HF処理によってケロジェン分離を行い顕微鏡で観察した。試料は、2018年および2019年の7~8月に北極域研究推進プロジェクト(ArCS)事業の一環として採取した。
バイオマーカー分析の結果、シアノバクテリア起源とされる2-メチルホパン、シュードモナス属バクテリア起源とされるαNATT(13α(n-alkyl)-tricyclic terpane)、起源不明のバクテリア由来とされるTT(13β(H), 14α (H)-tricyclic terpane)、真核藻類起源とされるステランおよびカダレンが検出された。バクテリアの総量に対するシアノバクテリアの割合を示す2-メチルホパン指標(2-MHI)は、全層準で高い値を取っており、一貫してシアノバクテリアの寄与が大きかったことが示された。またαNATTおよびTTは上位(若い年代)にかけて減少傾向が見られた。さらにステランおよびカダレンは最上位層で濃度が急激に高くなっており、真核藻類が急増したと考えられる。このことから、シアノバクテリア主体だった基礎生産において真核藻類の寄与が高まった可能性が示唆された。
パリノモルフ分析の結果、おもにアクリターク(Leiosphaeridia sp., Synsphaeridium sp., Satka sp., Navifusa majensi, Simia sp., Lophosphaeridium sp., Schizofusa sp.)が観察された。それらの群集組成が層準によって変化し、海洋環境および生態系の変化を反映していると推察した。このパリノモルフ記録はシアノバクテリア主体のバイオマーカー記録と調和的であると考えられる。
