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[BPT02-P08] Cryo-FIB-SEMによる底生有孔虫のチャンバー形成過程における細胞内元素組成のその場観察
キーワード:有孔虫、バイオミネラリゼーション
石灰質有孔虫は、方解石で石灰質殻を形成する海洋性単細胞生物である。この石灰質有孔虫の微量元素組成は、古海洋学分野において重要な環境プロキシである。これまでの我々の研究では、pHやカルシウムのイメージング技術や微細構造観察のためのFIB-SEMを用いて、海水からの取り込み過程を明らかにしてきたが、殻形成時の細胞内の元素分布については十分に理解されていなかった。本研究の目的は、実験室培養の容易さから研究が進んでいるAmmonia confertitestaのチャンバー形成過程における細胞内元素分布を測定することである。チャンバー形成段階の細胞とその形成チャンバー内の元素を測定した。バクテリアの前処理で一般的に用いられているサンドイッチ凍結法を、有孔虫のチャンバー形成過程の凍結に応用し固定た。有孔虫室形成の段階で、有孔虫をクライオスタットスタブに固定し、液体窒素で冷却した液体プロパン中で凍結した。凍結試料をCryo-FIB-SEM-EDSで処理し、有孔虫室と細胞をEDSで元素検出観察した。EDS測定の結果、細胞内に炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、リン(P)、硫黄(S)、塩素(Cl)が存在し、Ca、Mg、Pなどの元素が特定の部位に集中していることが明らかになった。本研究は、A. confertitestaのチャンバー形成過程における元素取り込みのメカニズムに理解に役立つものであり、有孔虫のバイオミネラリゼーションの解明に貢献する。

