17:15 〜 18:45
[G02-P01] 湘南海岸“江の島”でのジオ散歩のススメ
キーワード:湘南海岸、江の島、相模トラフ変動帯、地形・地質、⾃然災害、ジオ散歩
神奈川県,湘南海岸屈指の景勝地である江の島は,周囲約5 km,⾯積約0.38 km2の相模湾に浮かぶ瓢箪のような形をした孤島である.この島は,境川(⽚瀬川)河⼝から伸びる砂州によってビーチと島が繋がることから,地形学的には陸繋島とも呼ばれている.島内には,弁財天を祀る江島神社や,1600 年代に創業したとされる由緒ある旅籠・宿坊があり,鎌倉と並ぶ⼈気観光スポットとして,国内外の観光客で賑わいを⾒せている.
本発表では,湘南海岸屈指の観光地である江の島の地形・地質の⾒どころを周遊するジオ散歩ルートを提案する.特に,相模トラフに直接⾯したこの島では,変動地帯特有の地形や地質を,公共交通機関を使って何⽅でも簡単にアクセスすることができる⾸都圏での唯⼀無⼆の場所と⾔える.ご家族での江の島観光にあわせて,この島の成り⽴ちについて少しだけ関⼼をもっていただければ,企画者として幸いと考えている.
江の島ジオ散歩は,江の島弁天橋南詰に⽴地する江の島観光案内所前が出発点となり,前半と後半の2つのルートに分けられる.前半のルートでは,江の島観光案内所前から島の東側を巡り,江の島観光案内所前に戻る.後半のルートでは,江の島観光案内所前から江の島観光のメインルートである財弁天仲⾒世通りから岩屋洞窟までを巡る.あわせて概ね2〜3時間ほどの⾏程となる.各ルートの主要な観察ポイントは以下のとおりとなる.
前半ルートは1703年元禄関東地震によって地盤が隆起し,半島状になったと⾔われている聖天島公園付近,昔の波⾷棚が,地震隆起して⽣じた波食棚(岩屋面)と付加体である葉山層群が観察出来る江の島南東岸-釜ノ⼝付近,岩屋面よりも少し古い波食棚である猟師町付近を巡る.
後半ルートは,財弁天仲⾒世通り付近,江の島の頂部の⽐較的平らな海成段丘⾯(小原台面),箱根⽕⼭,丹沢⼭地や伊⾖半島の⼭並み,陸繋砂州(トンボロ)が展望できる展望灯台シーキャンドル,関東ローム層が露出する⼭⼆つ展望台付近,岩屋面や葉山層群が観察出来る稚児ヶ淵付近,最後に岩屋洞窟を巡る.
なお,江島神社には,平安時代中期にそれまでの伝承を書き残こしたとされる江ノ島縁起という絵巻物があり,江島神社に纏わる五頭⻯と弁天様が登場する江の島誕⽣の物語として広く世に知られている.その⼀節に,「欽明天皇13 年(⻄暦552 年)4 ⽉13 ⽇真っ⿊い雲が天空を覆い,深い繋が⽴ち込め,⼤地震が10⽇も続いた後,雲の上から弁天様が従えた四天王や⾵神雷神が空から⽯を降らせ,海からは真っ⾚な⽕柱とともに岩が噴き出して江の島は誕⽣した」という記述がある.地質学的に⾒て,この伝承の⽰す⾃然現象とは,具体的にはどのような成因によるものなのか,現地でご一考頂くことをお薦めしたい.
本発表では,湘南海岸屈指の観光地である江の島の地形・地質の⾒どころを周遊するジオ散歩ルートを提案する.特に,相模トラフに直接⾯したこの島では,変動地帯特有の地形や地質を,公共交通機関を使って何⽅でも簡単にアクセスすることができる⾸都圏での唯⼀無⼆の場所と⾔える.ご家族での江の島観光にあわせて,この島の成り⽴ちについて少しだけ関⼼をもっていただければ,企画者として幸いと考えている.
江の島ジオ散歩は,江の島弁天橋南詰に⽴地する江の島観光案内所前が出発点となり,前半と後半の2つのルートに分けられる.前半のルートでは,江の島観光案内所前から島の東側を巡り,江の島観光案内所前に戻る.後半のルートでは,江の島観光案内所前から江の島観光のメインルートである財弁天仲⾒世通りから岩屋洞窟までを巡る.あわせて概ね2〜3時間ほどの⾏程となる.各ルートの主要な観察ポイントは以下のとおりとなる.
前半ルートは1703年元禄関東地震によって地盤が隆起し,半島状になったと⾔われている聖天島公園付近,昔の波⾷棚が,地震隆起して⽣じた波食棚(岩屋面)と付加体である葉山層群が観察出来る江の島南東岸-釜ノ⼝付近,岩屋面よりも少し古い波食棚である猟師町付近を巡る.
後半ルートは,財弁天仲⾒世通り付近,江の島の頂部の⽐較的平らな海成段丘⾯(小原台面),箱根⽕⼭,丹沢⼭地や伊⾖半島の⼭並み,陸繋砂州(トンボロ)が展望できる展望灯台シーキャンドル,関東ローム層が露出する⼭⼆つ展望台付近,岩屋面や葉山層群が観察出来る稚児ヶ淵付近,最後に岩屋洞窟を巡る.
なお,江島神社には,平安時代中期にそれまでの伝承を書き残こしたとされる江ノ島縁起という絵巻物があり,江島神社に纏わる五頭⻯と弁天様が登場する江の島誕⽣の物語として広く世に知られている.その⼀節に,「欽明天皇13 年(⻄暦552 年)4 ⽉13 ⽇真っ⿊い雲が天空を覆い,深い繋が⽴ち込め,⼤地震が10⽇も続いた後,雲の上から弁天様が従えた四天王や⾵神雷神が空から⽯を降らせ,海からは真っ⾚な⽕柱とともに岩が噴き出して江の島は誕⽣した」という記述がある.地質学的に⾒て,この伝承の⽰す⾃然現象とは,具体的にはどのような成因によるものなのか,現地でご一考頂くことをお薦めしたい.