10:45 〜 11:00
[G04-06] 遠足などの課外活動を利用した地層観察プログラムの作成とその評価
キーワード:3DCG、遠足、事前指導、地層観察
1研究の背景および目的
地層の観察は,時間的・空間的制約により,実施の機会が少ない。一方で,遠足や林間学校などでは,地層や岩石などが露出する地域で活動する機会も多い。遠足や林間学校などの機会を活かすことにより,地層観察を実施できる可能性がある。ただし,地層の観察を第一の目的としない活動において,地層の観察を成立させるには,効果的な事前学習が必要になる。そこで,リアルな事前学習を行うために3DCGを用いた。本研究では,3DCG教材を用いて事前学習を行い,その後の野外観察で,どの程度地学的な項目を認識できたのか検証を行う。
2教材開発と授業実践
本研究では,iPhoneのLiDAR機能を用いて実際の地層を3DCG化した。その後,地層の3DCGに,生痕化石や貝化石などの位置と説明と,層理面の傾きを3DCGで表示した。作成した教材は,iOS端末を使用することにより,通常の表示方法とAR表示が可能である。本研究では,等倍で表示できる3DCGと,机上に乗る程度の縮尺に調整した3DCG教材を作成した。
対象者は首都圏の男子中学2年生250名とした。事前学習においては,作成した3DCG地層教材を使用した地層の観察を1時間行った。事前学習からおよそ1週間後に,4時間程度のコースで,鎌倉のハイキングコースで遠足を実施した。遠足から1週間後に,野外観察に対するアンケート調査を行なった。アンケート調査では,「層理面」,「構成物質」,「葉理」,「生痕化石」を遠足中に認識できたかどうか,2値で評価させた。
3結果と考察
分析対象となった生徒は210人だった。認識できたかどうかに対する調査結果から,ほとんどの生徒は地層を認識できていたことがわかる。また,構成物質や葉理などは,地層の中で見られる構造のため,注意を向けなければ認識できないが,およそ60%程度の生徒が認識できたと感じていた。また,生痕化石は構造自体の大きさが数十cmであり,形状も特殊であることから,認識されにくいが,本実践では38%の生徒が認識できていた。これらのことから、3DCG地層教材を利用して事前学習を行うことにより、現地観察における地学的事象の認識率が上昇する可能性が示唆された。
・本研究の一部は、ちゅうでん教育振興財団の助成を受けた。
地層の観察は,時間的・空間的制約により,実施の機会が少ない。一方で,遠足や林間学校などでは,地層や岩石などが露出する地域で活動する機会も多い。遠足や林間学校などの機会を活かすことにより,地層観察を実施できる可能性がある。ただし,地層の観察を第一の目的としない活動において,地層の観察を成立させるには,効果的な事前学習が必要になる。そこで,リアルな事前学習を行うために3DCGを用いた。本研究では,3DCG教材を用いて事前学習を行い,その後の野外観察で,どの程度地学的な項目を認識できたのか検証を行う。
2教材開発と授業実践
本研究では,iPhoneのLiDAR機能を用いて実際の地層を3DCG化した。その後,地層の3DCGに,生痕化石や貝化石などの位置と説明と,層理面の傾きを3DCGで表示した。作成した教材は,iOS端末を使用することにより,通常の表示方法とAR表示が可能である。本研究では,等倍で表示できる3DCGと,机上に乗る程度の縮尺に調整した3DCG教材を作成した。
対象者は首都圏の男子中学2年生250名とした。事前学習においては,作成した3DCG地層教材を使用した地層の観察を1時間行った。事前学習からおよそ1週間後に,4時間程度のコースで,鎌倉のハイキングコースで遠足を実施した。遠足から1週間後に,野外観察に対するアンケート調査を行なった。アンケート調査では,「層理面」,「構成物質」,「葉理」,「生痕化石」を遠足中に認識できたかどうか,2値で評価させた。
3結果と考察
分析対象となった生徒は210人だった。認識できたかどうかに対する調査結果から,ほとんどの生徒は地層を認識できていたことがわかる。また,構成物質や葉理などは,地層の中で見られる構造のため,注意を向けなければ認識できないが,およそ60%程度の生徒が認識できたと感じていた。また,生痕化石は構造自体の大きさが数十cmであり,形状も特殊であることから,認識されにくいが,本実践では38%の生徒が認識できていた。これらのことから、3DCG地層教材を利用して事前学習を行うことにより、現地観察における地学的事象の認識率が上昇する可能性が示唆された。
・本研究の一部は、ちゅうでん教育振興財団の助成を受けた。