17:15 〜 18:45
[G04-P02] 高大連携を活用して推進する高校生の研究活動
-地域の鉱物学的研究から国際研究への展開-
キーワード:SSH、高大連携、高校主導
兵庫県立姫路東高等学校は、2020年に「世界を牽引する人材育成のための国際的な課題研究と科学倫理探究のロールモデル作成」を研究開発目標として、文部科学省からSSHに指定された。具体的な研究開発テーマは、①地球科学を中心にした国際的な活動への挑戦、②科学倫理教育のロールモデルの作成と県内外への発信、③理系女子の育成と国際的な活動への挑戦、④科学部の国際的な活動への支援、である。
①の「地球科学を中心にした国際的な活動への挑戦」について、地球科学を基礎として理科4分野を統合し分野横断的に学ぶ「理数探究基礎Ⅰ」および「理数探究基礎Ⅱ」を学校設定科目として学んでいる。2022年には、兵庫県立大学と連携して国際学会「The 9th International Conference on Geoscience Education」に参加し、理数探究基礎教育の内容と、生徒の目線から考える理数探究基礎教育の評価について、学会発足以来高校生として初めて口頭発表を行い、世界に同時配信され高く評価された。さらにその内容を研究論文にまとめて、国際学会誌「Journal of Modern Education Review」誌に掲載されるなど、地学を基礎にした教育の成果を上げている。
④の「科学部の国際的な活動への支援」でも、生徒が主体的に設定するテーマの中に、地学系の研究テーマが毎年複数みられる。日本地球惑星科学連合や日本地質学会などの専門学会で発表したり、JSECや日本学生科学賞などの論文コンテスト等多くの論文コンテストに挑戦しており、2023年には、全国高等学校総合文化祭自然科学部門や日本学生科学賞中央審査会、JSEC最終審査会に異なる研究班が進出し、それらのいずれも高い評価を受けた。科学部員は毎年増加し続けており、2023年は、生徒の希望する研究テーマによって38名の生徒が5つの研究班に分かれて活動した。その中には、深成岩の角閃石に見られる微細構造からマグマ分化過程を明らかにしようという研究(マグマ班)や、柱状節理の物理的成因を、泥や漆喰を用いた模擬実験によって明らかにしようとする研究(溶岩班)があり、毎日主体的に研究に取り組んでいる。
特にマグマ班は、マグマ分化過程の環境を推定する指標となる角閃石の微細構造(波状累帯構造)を、兵庫県南部チタン鉄鉱系列の深成岩類で初めて発見し、その微細構造を偏光顕微鏡で詳細に観察した結果から西南日本内帯の形成環境を推定する論文を複数発表してきた。2023年以降は、京都大学理学部と連携関係にあり、毎月2回のZOOMによる協議を繰り返し、また生徒が京都大学を訪問して、生徒自らが鉱物のEPMA分析を行うなどしている。この活動は、学校の偏光顕微鏡のみに頼っていた研究活動から大きく踏み出す化学的成果をもたらした。山陰帯の角閃石の波状累帯構造と、生徒が発見した山陽帯角閃石の波状累帯構造ではそれぞれの成分に特徴があり、マグマ分化過程末期における熱水残液の成分や循環環境を強く反映していることが明らかになり、それらをモデル化している。
2024年1月には、生徒は11日間にわたってオーストラリア野外調査を実施した。この野外調査ではクイーンズランド大学と連携して事前、事後を含む指導・助言を得て、ニューサウスウエールズ州東海岸の火成岩について、現地調査と岩石試料の採取を行った。日本に持ち帰った岩石試料は京都大学で生徒自らEPMA分析を行い、西南日本の火成岩と化学的特徴を比較することによって、モデルの検証を行う。ここで得られた成果は、本校主催で全国から高校生や中学生、教員を招いて800名規模で開催するGirl’s Expo with Science Ethicsや国内の専門学会、さらに2025年1月にワシントンで開催予定の国際学会American Geophysical Union(AGU)での発表を目指すほか、論文にまとめて発表する予定である。高校主導で高大連携を活用することで、生徒の研究は飛躍的に深化する。
①の「地球科学を中心にした国際的な活動への挑戦」について、地球科学を基礎として理科4分野を統合し分野横断的に学ぶ「理数探究基礎Ⅰ」および「理数探究基礎Ⅱ」を学校設定科目として学んでいる。2022年には、兵庫県立大学と連携して国際学会「The 9th International Conference on Geoscience Education」に参加し、理数探究基礎教育の内容と、生徒の目線から考える理数探究基礎教育の評価について、学会発足以来高校生として初めて口頭発表を行い、世界に同時配信され高く評価された。さらにその内容を研究論文にまとめて、国際学会誌「Journal of Modern Education Review」誌に掲載されるなど、地学を基礎にした教育の成果を上げている。
④の「科学部の国際的な活動への支援」でも、生徒が主体的に設定するテーマの中に、地学系の研究テーマが毎年複数みられる。日本地球惑星科学連合や日本地質学会などの専門学会で発表したり、JSECや日本学生科学賞などの論文コンテスト等多くの論文コンテストに挑戦しており、2023年には、全国高等学校総合文化祭自然科学部門や日本学生科学賞中央審査会、JSEC最終審査会に異なる研究班が進出し、それらのいずれも高い評価を受けた。科学部員は毎年増加し続けており、2023年は、生徒の希望する研究テーマによって38名の生徒が5つの研究班に分かれて活動した。その中には、深成岩の角閃石に見られる微細構造からマグマ分化過程を明らかにしようという研究(マグマ班)や、柱状節理の物理的成因を、泥や漆喰を用いた模擬実験によって明らかにしようとする研究(溶岩班)があり、毎日主体的に研究に取り組んでいる。
特にマグマ班は、マグマ分化過程の環境を推定する指標となる角閃石の微細構造(波状累帯構造)を、兵庫県南部チタン鉄鉱系列の深成岩類で初めて発見し、その微細構造を偏光顕微鏡で詳細に観察した結果から西南日本内帯の形成環境を推定する論文を複数発表してきた。2023年以降は、京都大学理学部と連携関係にあり、毎月2回のZOOMによる協議を繰り返し、また生徒が京都大学を訪問して、生徒自らが鉱物のEPMA分析を行うなどしている。この活動は、学校の偏光顕微鏡のみに頼っていた研究活動から大きく踏み出す化学的成果をもたらした。山陰帯の角閃石の波状累帯構造と、生徒が発見した山陽帯角閃石の波状累帯構造ではそれぞれの成分に特徴があり、マグマ分化過程末期における熱水残液の成分や循環環境を強く反映していることが明らかになり、それらをモデル化している。
2024年1月には、生徒は11日間にわたってオーストラリア野外調査を実施した。この野外調査ではクイーンズランド大学と連携して事前、事後を含む指導・助言を得て、ニューサウスウエールズ州東海岸の火成岩について、現地調査と岩石試料の採取を行った。日本に持ち帰った岩石試料は京都大学で生徒自らEPMA分析を行い、西南日本の火成岩と化学的特徴を比較することによって、モデルの検証を行う。ここで得られた成果は、本校主催で全国から高校生や中学生、教員を招いて800名規模で開催するGirl’s Expo with Science Ethicsや国内の専門学会、さらに2025年1月にワシントンで開催予定の国際学会American Geophysical Union(AGU)での発表を目指すほか、論文にまとめて発表する予定である。高校主導で高大連携を活用することで、生徒の研究は飛躍的に深化する。