日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG20] 原子力と地球惑星科学

2024年5月26日(日) 10:45 〜 12:00 202 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:竹内 真司(日本大学文理学部地球科学科)、濱田 崇臣((一財)電力中央研究所)、笹尾 英嗣(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 東濃地科学センター)、座長:笹尾 英嗣(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 東濃地科学センター)

11:00 〜 11:15

[HCG20-02] 沿岸における地下水流動の地下水年代測定による評価

*長谷川 琢磨1、中田 弘太郎1、岡本 駿一1 (1.一般財団法人 電力中央研究所 )

キーワード:地下水年代、現海水、化石海水、同位体、希ガス

放射性廃棄物処分やCO2地中貯留において、沿岸域は輸送の観点から有利であり、沿岸域の深部における地下水の流れが注目されている。地下水年代測定は、非常に遅い地下水流動の評価に有効な方法である。このため、沿岸部の大深度ボーリングにおいて、岩石コアや地下水を用いた地下水年代測定を実施している。
幌延浜里の大深度ボーリング1200mでは、深度300〜360mの砂・シルト層、90〜300mのシルト層、800m以下のシルト泥層にそれぞれ現降水、氷期降水、化石海水が分布していることが確認された。
横須賀西岸の大深度ボーリング500mでは、深度0-200mの砂・シルト層、200m以深の泥岩層にそれぞれ、現降水・現海水の混合が混合した汽水、化石海水が分布していることが確認された。
現降水・現海水の同定には、14C濃度が高い、4He濃度が蓄積していない、水素・酸素同位体比が現降水と現海水の混合線上にあることなどが役に立った。化石海水の同定には、36Cl/Clが原位置生成で高い、4He濃度が蓄積し高い、水素酸素同位体比が海水から変化している、という情報が役に立った。
地下水年代測定法は、現海水や化石海水の同定に有効であり、沿岸部の海水の流動性評価に重要であると考えられた。
本研究の一部は、経済産業省からの受託研究「沿岸部処分システム高度化開発」として実施したものである。ここに記して謝意を表します。