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[HCG20-P08] 画像解析に基づくセメンテーションによるベントナイトの膨潤圧低下の要因の定量的検証

キーワード:ベントナイト、セメンテーション、膨潤、画像解析
高レベル放射性廃棄物の地層処分では、緩衝材として膨潤性粘土であるベントナイトの利用が考えられており、ベントナイトが膨潤することで低透水性を維持し、放射性核種の移行を抑制することなどが期待されている。しかし長期的には、ベントナイトが変質し、本来求められるバリア機能が低下することが懸念されている。想定される変質過程の一つに、二次鉱物が空隙に沈澱してモンモリロナイトに固着するセメンテーションがあり、セメンテーションされることでベントナイトの膨潤性が低下する可能性がある。しかし、セメンテーションによりベントナイトの膨潤圧が低下するメカニズムは明らかになっておらず、セメンテーションされた岩石組織のどの要素がどの程度膨潤性に影響するか定量的な理解には至っていない。そこで本研究では、セメンテーションされたベントナイトのアナログ試料としてベントナイト原鉱石を分析し、セメンテーションが膨潤圧に及ぼす影響を検討した。
山形県月布ベントナイト鉱山からベントナイト原鉱石を6試料採取し、随伴鉱物の量や産状に着目した岩石組織の観察・定量と膨潤圧試験を実施した。走査型電子顕微鏡(SEM)では、数μmほどの微細なシリカがモンモリロナイトからなるマトリクス中に広く分布している様子が確認された。また、一部の試料では、この他の随伴鉱物として炭酸塩鉱物やカリ長石がマトリクス中で確認された。これら随伴鉱物の量や産状は試料によって大きく異なっていたため、こうした岩石組織の違いが膨潤圧に影響を与えていると考え、岩石組織の特徴を定量的に比較するために画像解析を行った。
SEMで得られた高分解能の反射電子像を用いて粒子の輪郭を抽出し、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を用いた元素マップと組み合わせることで、鉱物の種類を区別してその分布を可視化する「鉱物マップ」を作成した。鉱物マップを作成することにより、鉱物の含有割合、粒度分布、粒子どうしの距離といった岩石組織のパラメータを定量することが可能になった。続いて重回帰分析を行い、定量したパラメータと測定した膨潤圧の相関関係を検討した。その結果、膨潤圧はモンモリロナイト含有量が多いほど大きくなる一方で、マトリクス中の随伴鉱物の周囲長が長いほど小さくなる傾向が見られた。随伴鉱物の周囲長は、モンモリロナイトと随伴鉱物が固着した部分の面積の指標となるパラメータであり、二次鉱物の固着の程度がセメンテーションされたベントナイトの膨潤圧に影響することが示唆された。
本研究は、経済産業省資源エネルギー庁の委託事業である、「高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(ニアフィールドシステム評価確証技術開発)」(令和2年度 – 令和3年度)の成果の一部を含むものである。
山形県月布ベントナイト鉱山からベントナイト原鉱石を6試料採取し、随伴鉱物の量や産状に着目した岩石組織の観察・定量と膨潤圧試験を実施した。走査型電子顕微鏡(SEM)では、数μmほどの微細なシリカがモンモリロナイトからなるマトリクス中に広く分布している様子が確認された。また、一部の試料では、この他の随伴鉱物として炭酸塩鉱物やカリ長石がマトリクス中で確認された。これら随伴鉱物の量や産状は試料によって大きく異なっていたため、こうした岩石組織の違いが膨潤圧に影響を与えていると考え、岩石組織の特徴を定量的に比較するために画像解析を行った。
SEMで得られた高分解能の反射電子像を用いて粒子の輪郭を抽出し、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を用いた元素マップと組み合わせることで、鉱物の種類を区別してその分布を可視化する「鉱物マップ」を作成した。鉱物マップを作成することにより、鉱物の含有割合、粒度分布、粒子どうしの距離といった岩石組織のパラメータを定量することが可能になった。続いて重回帰分析を行い、定量したパラメータと測定した膨潤圧の相関関係を検討した。その結果、膨潤圧はモンモリロナイト含有量が多いほど大きくなる一方で、マトリクス中の随伴鉱物の周囲長が長いほど小さくなる傾向が見られた。随伴鉱物の周囲長は、モンモリロナイトと随伴鉱物が固着した部分の面積の指標となるパラメータであり、二次鉱物の固着の程度がセメンテーションされたベントナイトの膨潤圧に影響することが示唆された。
本研究は、経済産業省資源エネルギー庁の委託事業である、「高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(ニアフィールドシステム評価確証技術開発)」(令和2年度 – 令和3年度)の成果の一部を含むものである。