日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG23] 堆積・侵食・地形発達プロセスから読み取る地球表層環境変動

2024年5月28日(火) 13:45 〜 15:00 201B (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:菊地 一輝(中央大学 理工学部)、池田 昌之(東京大学)、川村 喜一郎(山口大学)、清家 弘治(産業技術総合研究所・地質調査総合センター)、座長:清家 弘治(産業技術総合研究所・地質調査総合センター)、池田 昌之(東京大学)、川村 喜一郎(山口大学)、菊地 一輝(中央大学 理工学部)

14:00 〜 14:15

[HCG23-02] 深海熱水鉱床サイト周辺における海底堆積物中の生物活動評価

*清家 弘治1山岡 香子1、井口 亮1、田中 美菜子2、福原 達雄2、加藤 広大2、山本 祐也2、石田 暁之3 (1.産業技術総合研究所・地質調査総合センター、2.KANSOテクノス、3.独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC))

キーワード:生痕、生物攪拌、深海、底生生物

海底熱水鉱床の環境調査を行うにあたり,その調査地域位の堆積物中における底生生物の生息状況,活動状況を把握することは重要である.底生生物の生態系調査は一般的にはその場の生物種数や生物量などを調べることにより行われるが,本発表では演者らが最近進めている堆積物コアX線CTスキャンによる底生生物活動の評価手法について紹介する.研究対象としたサンプルは,北西太平洋の海底熱水鉱床サイト数地点で採取された堆積物コアである.産総研地質調査総合センターに設置されたX線CTスキャンを用いて,コアに含まれる堆積構造を可視化し,画像解析ソフトウェアAmiraを用いて得られた三次元データの形態解析を行った.CTデータ中で識別できる全ての生物源堆積構造(巣穴や這い痕)をトレースし,その直径や伸長角度を解析した.この手法を用いることで,①生物量が少ない場所では,生物により利用されている空間の割合が算出できること,②生痕の直径と伸長角度の間には負の相関が見られること,③現在アクティブな巣穴と過去に形成された巣穴を識別できること,④巣穴のように見える構造でも,三次元的な観察をすれば非生物源の堆積構造とを認識できること,などが判明した.この手法を用いることで,熱水鉱床サイトにおける海底下の生物活動評価を,新たな視点で実施できる.