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[HCG25-01] 南ヨルダン、カルハ山における旧石器時代人の水資源利用と石材利用
キーワード:旧石器時代、南ヨルダン、乾燥地、水資源、石材産地、GISモデリング
人類がいまだ井戸掘りや灌漑の技術をもたなかった旧石器時代には、天水(表層水)の利用がもっぱらであった。特にアラビア半島などの乾燥地では、水資源が得られるかどうかが、居住地の選択に決定的に重要であったことは想像に難くない。同様に、狩猟や加工に用いる利器としての石器の素材すなわち石材の獲得も重要であった。南ヨルダンのカルハ山一帯は、水資源と石材の両方を得られる場所であり、トール・ハマルをはじめとする複数の遺跡が知られている。カルハ山が裸地であると仮定して、表層水の水文解析を行なったところ、遺跡の所在する峡谷に表層水が集中することが明らかになった。また、移動コスト分析を実施したところ、この峡谷は、複数の石材産地から等距離にあり、複数の石材産地を等分に利用できることも明らかになった。これらの知見は、旧石器時代の人類がこの峡谷を好んで居住した理由の一端を説明しているものと考えられる。