14:15 〜 14:30
[HDS08-15] 産総研における斜面災害リスク評価のための地質情報整備
キーワード:斜面災害、地質情報、susceptibility map、九州地方北部
日本では,毎年のように斜面災害が多く発生し,斜面下の民家やインフラ等の施設に被害をもたらしている。これまで災害の危険個所抽出の取り組みは行われているが,地質的な条件については,地層や岩石の種類や年代,変質・風化など複雑な要素があり,斜面災害の素因としての解釈が難しく,事例研究にとどまっている.
このような状況の中,経済産業省が2021 年に策定した第3 期知的基盤整備計画(経済産業省,2021)で,斜面災害リスク評価のための地質情報整備を行うことが示された.産総研地質調査総合センターでは,2022年から2023年は九州地方北部について基本的な地質情報の収集・解析はもちろん,物理探査技術や衛星情報解析技術を用いて,この中で斜面災害リスク評価に寄与する地質情報の整備を行い,地質情報からみたsusceptibility mapを作成した。
整備する地質情報の構成
整備する地質情報は,九州地方全域を概観する広域情報と,防災計画や対策での利用を想定し詳細な情報を整備する重点地域を設定した。重点地域は九州地域の中でも平山地すべりや石倉地すべりをはじめ過去数回の大きな斜面災害が発生した佐世保地域と,ここ数十年で熊本地震や豪雨による災害が頻発している阿蘇地域を重点地域とした。
一方で,斜面災害リスク評価を行うための基礎情報として,過去の論文や公開データ,
自治体など公的機関等からの災害履歴情報やASTER をはじめとした衛星センサを用いた土砂移動の推測,防災科学技術研究所の地すべり地形区分図などを利用した。
広域情報の整備には1/20万シームレス地質図の再解析を行い,これと種々の地形要素を入力データとして,susceptibility mapの作成を試みた。
一方,重点地域の一つである佐世保地域では,流れ盤受け盤を把握するための走向傾斜図,5万分の1地質図のシームレス化・凡例の構造化などを行った。また,阿蘇地域では,脆弱な火山灰の層厚を知るため,野外調査・ボーリング調査や,微動アレイ法による低速度層の把握などを行った。また,熱水変質を受け粘土化した地質が磁性鉱物を失うことを利用し,空中磁気探査を行った。
このような地質情報の整備の概要について報告する。
このような状況の中,経済産業省が2021 年に策定した第3 期知的基盤整備計画(経済産業省,2021)で,斜面災害リスク評価のための地質情報整備を行うことが示された.産総研地質調査総合センターでは,2022年から2023年は九州地方北部について基本的な地質情報の収集・解析はもちろん,物理探査技術や衛星情報解析技術を用いて,この中で斜面災害リスク評価に寄与する地質情報の整備を行い,地質情報からみたsusceptibility mapを作成した。
整備する地質情報の構成
整備する地質情報は,九州地方全域を概観する広域情報と,防災計画や対策での利用を想定し詳細な情報を整備する重点地域を設定した。重点地域は九州地域の中でも平山地すべりや石倉地すべりをはじめ過去数回の大きな斜面災害が発生した佐世保地域と,ここ数十年で熊本地震や豪雨による災害が頻発している阿蘇地域を重点地域とした。
一方で,斜面災害リスク評価を行うための基礎情報として,過去の論文や公開データ,
自治体など公的機関等からの災害履歴情報やASTER をはじめとした衛星センサを用いた土砂移動の推測,防災科学技術研究所の地すべり地形区分図などを利用した。
広域情報の整備には1/20万シームレス地質図の再解析を行い,これと種々の地形要素を入力データとして,susceptibility mapの作成を試みた。
一方,重点地域の一つである佐世保地域では,流れ盤受け盤を把握するための走向傾斜図,5万分の1地質図のシームレス化・凡例の構造化などを行った。また,阿蘇地域では,脆弱な火山灰の層厚を知るため,野外調査・ボーリング調査や,微動アレイ法による低速度層の把握などを行った。また,熱水変質を受け粘土化した地質が磁性鉱物を失うことを利用し,空中磁気探査を行った。
このような地質情報の整備の概要について報告する。