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[HDS10-P14] 2004年スマトラ地震被災地のバンダアチェにおける住民の災害リスク認知
キーワード:災害リスク認知、災害経験、2004年スマトラ地震、バンダアチェ
2004年スマトラ地震による津波の最大被災地、インドネシアのバンダアチェでは、被災から約20年間が経過し、意識的に保存された、わずかばかりの災害遺構を除くと、ここでかつて起こった悲劇を感じさせる景観はほとんどない。わたしたちが2023年1月におこなった質問紙調査によれば、津波や高潮などの沿岸災害が近い将来どの程度起こると思うかという質問に「大いに」と回答した人は全回答者の25.2%であり、旧被災地の沿岸地域居住者における比率で見ても53.2%にすぎない(うち、津波災害経験者の67.4%)。このことは、世紀の大災害であっても、その被災経験を教訓として残し、非被災地も含む地域全体で共有していくことの難しさを表している。復興過程において内陸郊外の住宅開発が活発化し、近年は津波被災地の沿岸部において大規模な住宅開発が見られるようになり、津波によって8割以上の住民を失った地域でも、人口が津波前の水準に戻りつつある。この報告では、こうした災害後の都市開発に触れながら、わたしたちが定期的に実施してきた過去の質問紙調査結果にも言及し、大災害後の被災地における住民の災害リスク認知の状況とその変化の要因について考察する。
