[H-DS11] 津波とその予測

[HDS11-08] 津波が誘起した低周波音波（微気圧波）を用いたジョイントインバージョン解析による津波波源推定の実現可能性調査

*大久保 寛¹、齊藤 義騎¹、徳田 雅巳¹、上原 謙太郎²、舘畑 秀衛²、林 健次²、渡邊 康介³ (1.東京都立大学大学院システムデザイン研究科、2.日本気象協会、3.中部電力)

キーワード：ジョイントインバージョン、津波波源推定、超低周波音波、微気圧波、津波、大規模数値シミュレーション

巨大地震時の津波発生に伴う気圧変化は古くから観測されており，津波の発生によって引き起こされる大気圧（低周波音波）の変化については様々な研究が報告されている．東北地方太平洋沖地震において，私たちの研究グループは津波によって引き起こされた超低周波音を観測することに成功した．低周波音波は津波よりも速い速度で大気中を伝播するため，津波早期検知に応用できると期待されている．すなわち，津波検知の観測対象の一つとして超低周波音を利用することで，津波検知のロバスト性と安定性をさらに向上させると考えている．
我々は，これまでに波源と大気モデルを考慮した大規模伝搬数値シミュレーションを実装し，津波による超低周波音の伝播現象について数値的に再現する時間領域数値解析手法を提案し，その有効性を示した．さらに，開発した超低周波音の数値解析モデルを用いたインバージョンによって津波波源を推定する方法を提案し報告した．そこで，本研究ではインバージョン手法をさらに進め，超低周波音と津波波形を組み合わせたジョイントインバージョンによる波源推定を提案する．超低周波音の波源は海面変動であり，津波の波源と極めて関係性が高い．提案するインバージョン手法は，津波波源推定はよりロバストな早期津波検知法として有望と考えている．