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[HGG02-P01] 地域産業と地域の人々とのつながりに着目した小学校第3学年地域産業学習の授業開発―明石市の水産業を題材として―
キーワード:地域学習、地域に見られる生産の仕事、水産業、明石市
1980年代以降の日本において,水産業の経済規模は縮小し続けている.それに伴い,2021年末の時点で,全国の漁港背後集落の内およそ71%が過疎化していると指摘されている.この現状を受けて多くの自治体や漁業関係者は水産業の存続に向けて,地域住民も巻き込んだ様々な活動を行っている.この活動を効果的かつ持続的に継続するためには,学校での地域学習などを通してシビックプライドを醸成することが重要である.したがって,水産業が主要産業である地域においては,地域学習で水産業を題材にすることが求められる.そこで,本研究では水産業を題材とした小学校3年生向けの授業「地域に見られる生産の仕事」を開発し,先行実践と比較,評価することを目的とする.本研究では「豊かな海づくり」をキーワードとして,水産業と地域とのつながりを意識できる学習構造にしている.第1次では,地域の町並みや特産物から水産業と出会わせ,水産業と地域とのつながりをおしだしている.第2次では,漁協や市役所で働く人々も取り上げ,地域全体に水産業と関わる人々がいることを学習させる.第3次では,学習してきたことを踏まえて,児童も地域住民の1人として水産業の抱える課題への対策を考えさせた.本研究では使用教材の開発も行った.第1次では,地域の町並みの写真や特産物の写真を用いている.第2次では,漁協や市役所でのインタビューで聞き取った内容をまとめたものを用いた.ノリ養殖の工程をまとめた図なども用意しており,明石市の水産業の特徴もおさえられるようにしている.第3次では,明石市の水産業が抱える課題について児童自身が解決する方法を考えられるように,兵庫県や明石市の行っている取り組みを取り上げている.本研究で開発した実践は,先行実践で迫ることが不十分だった地域の産業と地域とのつながりを学習させることができるものとなった.例えば,水産業と町並みや地域住民との関わりを取り上げることで,先行実践よりも強く地域とのつながりに迫らせている.さらに,課題の対策を児童自身が提案することによって,児童の地域への関心を高める効果も期待でき,学習指導要領に記載されている目標達成に寄与できるものとなった.
