17:15 〜 18:45
[HGM03-P08] 求めやすい水文情報からの地形変化に繋がる流出推定方法
キーワード:有限要素法、実用気象データ、重回帰分析
1.和束町の自然特性と山城水害被災
京都府和束町は、淀川の一支流である木津川へ北側から流入する支川和束川沿いにあり、和束川に並行して和束断層があり、大阪層群と花崗岩の互層となっている。実験用地の近くで和束川の二次支川にかかる橋を架け替えることになったときに2~4m下から出てきたのは風化花崗岩の軟岩であった。
昭和28年の南山城水害では、日本の北西にある高気圧と南にある台風の影響で刺激された早い時期の秋雨前線による雨が最も多く降ったのは奥の掘込河川となっている湯船地区であったが、川幅が200mにまで広がった中和束であった。淀川チャンネル型の降雨で田辺太郎と呼ぶ積乱雲で線状降水帯がもたらされたとも言われるが、和束川沿いにある湯船の河の防災情報雨量情報は、風向きが南西の時に大きな値が出ている傾向がある。
谷が狭くなり南側に向きを転じた石寺では、人的な被害は少なかったが、運よく住宅は難を逃れたものの、付近の和束川二次支川の流路が十数m移動し深く掘れたため、砂防堰堤と流路工が作られ、飛んで渡れた川が2m以上の深い形状になった。
2.用いた手軽に入手できる情報と機器
実験地内の地下水流動を、1m深さ地温調査や地下水流水音計で水ミチを探り、平行に穴あき管を埋設して微小変動を安定化してきた。日月単位の地下水齢は溶解成分が電気伝導度ECを上げ、浅層伏流水の59μs/cmから河川水150前後、20m井戸220と変わることで探れるのではと地形学連合2022年秋季大会で発表した。今回は降雨後の地下水流出を水文情報を用いて3次元地下水解析ソフトAC-UNSAF3Dを用いた解析を検討した。
国土交通省の川の防災情報では、湯船と、和束川流域ではないが石寺に近い西側の三上山の雨量のデータが、過去一週間まで入手でき、気象台のデータは奈良と京田辺が近く、温度、湿度、風速、日照時間といった情報も得ることができる。
風速、雨量などを連続的に観測するのは設置費用と目的から得られる効果から難しいため、求めやすい機器から温度、湿度、風速や照度を観測し、気象台の値も参照して用いた。
用地内の河川流量は、常時水流がある地点で水深、流速、流水幅から算定した。付近で木陰と日当たりの良い場所での観測値を、1/2500地形図から求めた観測地点である砂防堰堤までの流域面積23万m2と、森林面積19万m2から、加重平均とした。
3 重回帰分析結果
降雨時の滑動や流出には時間単位の雨量に対する浸透量がAC-UNSAF3Dでも重要になる。
求めやすい観測機器で値が得られる(1)気温(2)湿度(3)照度(4)風速、近隣の気象庁のデータや川の防災情報等から得た雨量及び経過日数、砂防堰堤流域の現地観測流量から多変量解析C-Analisysで重回帰式を作成した。11~2 月の冬季の17個のデータで、既往研究6)等で蒸発散量を減じる方向で正の相関が想定される雨量及び湿度と、減じる経過日数で重回帰式 流量 = 0.0001*雨量+0.0001*湿度-0.0004*経過日数+0.0034 は検定可能となったものの、F検定では有意とならなかった。直射日光の当たらない気象台観測値より簡易機器による観測温度は照度の影響で高くなり、飽和水蒸気量が大きくなるため相対湿度はやや低く、風速は現地で0.2m/s以下と立木竹が多い谷地形のため気象庁観測値よりかなり低く出た。
4 有限要素法による地下水解析
岡山大学の地下水研究会が開発したフリーソフトAC-UNSAF3Dにより、降雨や流出量も入れることができ、フリーの場合は要素数などが限定されるが、Geomodeler図化もできる。蒸発散量を入れることもできるが、雨量に浸透能を乗じることが一般的で、重回帰で有意な関係を得られていない今回は林地には0.7、舗装道路等には1.0とした。
時間30mm降雨があった場合の短期的な影響を見るため10時間後までを計算した。メッシュは、直方体等の六面体は8節点、三角柱は6節点で、要素の節点番号は左回りに下面、上面の順で設定した。
用地周辺の土の透水係数は長谷川式簡易透水計で測定し2×10-5m/s前後であった。軟岩の深さ、コンクリート構造物等の位置により、透水係数の大きさを設定し、透水係数の大きな砂は容器に入れて注水し算定した。有効間隙率をコンクリート0.04、土0.3~0.4穴あき管0.6水路0.99とし、比貯留係数は粘土1×10-3~砂1×10-4(1/m)等で入力した。
その結果、①実験用地の流速コンターからは平成30年7月豪雨時の10cm程下方へ変動した部分、1m深地温調査で出た水ミチが流速の大きな部分として表現できた。➁架け替えた橋周辺では、水抜き穴を閉鎖した部分で全水頭の数千mの上昇みられ、側溝の可変高さ改修を計画していた辺からの穴開き管で比較的広範囲に最大91mの全水頭低下ができ、浸食を防止できる可能性が示された。
京都府和束町は、淀川の一支流である木津川へ北側から流入する支川和束川沿いにあり、和束川に並行して和束断層があり、大阪層群と花崗岩の互層となっている。実験用地の近くで和束川の二次支川にかかる橋を架け替えることになったときに2~4m下から出てきたのは風化花崗岩の軟岩であった。
昭和28年の南山城水害では、日本の北西にある高気圧と南にある台風の影響で刺激された早い時期の秋雨前線による雨が最も多く降ったのは奥の掘込河川となっている湯船地区であったが、川幅が200mにまで広がった中和束であった。淀川チャンネル型の降雨で田辺太郎と呼ぶ積乱雲で線状降水帯がもたらされたとも言われるが、和束川沿いにある湯船の河の防災情報雨量情報は、風向きが南西の時に大きな値が出ている傾向がある。
谷が狭くなり南側に向きを転じた石寺では、人的な被害は少なかったが、運よく住宅は難を逃れたものの、付近の和束川二次支川の流路が十数m移動し深く掘れたため、砂防堰堤と流路工が作られ、飛んで渡れた川が2m以上の深い形状になった。
2.用いた手軽に入手できる情報と機器
実験地内の地下水流動を、1m深さ地温調査や地下水流水音計で水ミチを探り、平行に穴あき管を埋設して微小変動を安定化してきた。日月単位の地下水齢は溶解成分が電気伝導度ECを上げ、浅層伏流水の59μs/cmから河川水150前後、20m井戸220と変わることで探れるのではと地形学連合2022年秋季大会で発表した。今回は降雨後の地下水流出を水文情報を用いて3次元地下水解析ソフトAC-UNSAF3Dを用いた解析を検討した。
国土交通省の川の防災情報では、湯船と、和束川流域ではないが石寺に近い西側の三上山の雨量のデータが、過去一週間まで入手でき、気象台のデータは奈良と京田辺が近く、温度、湿度、風速、日照時間といった情報も得ることができる。
風速、雨量などを連続的に観測するのは設置費用と目的から得られる効果から難しいため、求めやすい機器から温度、湿度、風速や照度を観測し、気象台の値も参照して用いた。
用地内の河川流量は、常時水流がある地点で水深、流速、流水幅から算定した。付近で木陰と日当たりの良い場所での観測値を、1/2500地形図から求めた観測地点である砂防堰堤までの流域面積23万m2と、森林面積19万m2から、加重平均とした。
3 重回帰分析結果
降雨時の滑動や流出には時間単位の雨量に対する浸透量がAC-UNSAF3Dでも重要になる。
求めやすい観測機器で値が得られる(1)気温(2)湿度(3)照度(4)風速、近隣の気象庁のデータや川の防災情報等から得た雨量及び経過日数、砂防堰堤流域の現地観測流量から多変量解析C-Analisysで重回帰式を作成した。11~2 月の冬季の17個のデータで、既往研究6)等で蒸発散量を減じる方向で正の相関が想定される雨量及び湿度と、減じる経過日数で重回帰式 流量 = 0.0001*雨量+0.0001*湿度-0.0004*経過日数+0.0034 は検定可能となったものの、F検定では有意とならなかった。直射日光の当たらない気象台観測値より簡易機器による観測温度は照度の影響で高くなり、飽和水蒸気量が大きくなるため相対湿度はやや低く、風速は現地で0.2m/s以下と立木竹が多い谷地形のため気象庁観測値よりかなり低く出た。
4 有限要素法による地下水解析
岡山大学の地下水研究会が開発したフリーソフトAC-UNSAF3Dにより、降雨や流出量も入れることができ、フリーの場合は要素数などが限定されるが、Geomodeler図化もできる。蒸発散量を入れることもできるが、雨量に浸透能を乗じることが一般的で、重回帰で有意な関係を得られていない今回は林地には0.7、舗装道路等には1.0とした。
時間30mm降雨があった場合の短期的な影響を見るため10時間後までを計算した。メッシュは、直方体等の六面体は8節点、三角柱は6節点で、要素の節点番号は左回りに下面、上面の順で設定した。
用地周辺の土の透水係数は長谷川式簡易透水計で測定し2×10-5m/s前後であった。軟岩の深さ、コンクリート構造物等の位置により、透水係数の大きさを設定し、透水係数の大きな砂は容器に入れて注水し算定した。有効間隙率をコンクリート0.04、土0.3~0.4穴あき管0.6水路0.99とし、比貯留係数は粘土1×10-3~砂1×10-4(1/m)等で入力した。
その結果、①実験用地の流速コンターからは平成30年7月豪雨時の10cm程下方へ変動した部分、1m深地温調査で出た水ミチが流速の大きな部分として表現できた。➁架け替えた橋周辺では、水抜き穴を閉鎖した部分で全水頭の数千mの上昇みられ、側溝の可変高さ改修を計画していた辺からの穴開き管で比較的広範囲に最大91mの全水頭低下ができ、浸食を防止できる可能性が示された。
