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[HGM03-P10] 地質の違いが流域からの土砂流出量に及ぼす影響の比較
キーワード:土砂流出量、土石流、LiDAR DEM解析、地質、土砂災害
本研究は,2014~2019年の豪雨で土砂災害が発生した日本の5地域13地質を対象に、災害前後のLP地形データを用いて標高値の変化量を差分計算し,流域面積を0.01~0.1 km2までのケースごとの土砂流出量を求めた。その上で,地質の違いが流域内の土砂流出量に与える影響について崩壊発生密度や崩壊生産土砂量、流域侵食強度といった指標から明らかにすることを目的とした。その結果、いずれの地質グループでも全体的に流域面積が大きくなると起伏比が低下し、土砂流出量が増加するが、地質によってその増加傾向が異なっていた。また、深成岩類と変成岩類での崩壊発生密度が大きかった。流域内の崩壊生産土砂量と全侵食土砂量はy=axの一次式で回帰でき、平均的な流域内の全侵食土砂量は崩壊土砂量の約2倍になることから、これらの間には1:2の比例関係があることが明らかになった。起伏比と流域侵食強度の関係からは、起伏比が増加するにつれて流域侵食強度が緩やかに増加し、深成岩類(花崗岩・花崗閃緑岩)のグループは他の3グループよりもその増加割合が大きかった(0.2~0.8 m3/m2)。また、変成岩類のグループは流域侵食強度が比較的低く、堆積岩類はそのばらつきが極めて大きいという特性があらわれており、これら地質の違いは洪水流による渓床・渓岸への侵食程度の差として土砂流出量に影響を与えている可能性があった。
