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[HQR05-06] Eski Acigol湖跡の掘削に基づく過去〜5000年間の中央アナトリア古環境変動史
キーワード:エスキ・アジュギョル、中央アナトリア、後期完新世、古環境変動
中央アナトリアのほぼ中央には、1970年代に干上がったEski Acigolと呼ばれる火口湖跡があり、過去15000年以上に渡って細粒堆積物が連続的に堆積したことが知られている。私たちは2023年8月23~25日に、Eski Acigol中央部付近のEA-2301地点において、ポータブルな振動式掘削装置を用いて4孔を掘削し、深度〜4.6m(〜5000年前)までの湖成堆積物記録を連続的に復元した。
回収された堆積物は細粒砕屑物を主体とし、様々な程度に石灰質物質(貝形虫殻などの生物源石灰質物質や無機沈殿石灰質物質)やシリカ(珪藻、海綿骨針などの生物源シリカや無機沈殿オパール)を含む。回収された堆積物のうち、特に深度2.4〜4.3m(約5〜3千年前)の層序区間は数10cmスケールの明色層―暗色層互層で特徴づけられ、この期間で6回繰り返していることから~400年の周期をもつと計算される。これら明暗互層の明色部には更に厚さ数cmの様々な程度に赤味や黒味を帯びた薄層が繰り返し、数十年周期でも環境が激しく変動した事を示唆する。
堆積物の顕微鏡観察や色・鉱物・化学分析を予察的に行って、こうした変動の原因を調べた結果、数10cmスケールの明暗互層は、湖水位変動(乾湿変動)を反映している可能性が示唆された。数cmスケールの色の変化について、それがどの様な環境変動を反映しているかについては、今後の課題である。
上記の~400年周期の乾湿変動が顕著な時代区間は、カマン・カレホユックなどの遺跡において火災層が繰り返し出現する時代区間とほぼ一致し、出現周期も類似していることから両者の間に何らかの関係が示唆される。今後、両者の関係を明らかにするためには、両記録において、より精度が高く時間解像度も高い年代モデルの構築が不可欠である。
回収された堆積物は細粒砕屑物を主体とし、様々な程度に石灰質物質(貝形虫殻などの生物源石灰質物質や無機沈殿石灰質物質)やシリカ(珪藻、海綿骨針などの生物源シリカや無機沈殿オパール)を含む。回収された堆積物のうち、特に深度2.4〜4.3m(約5〜3千年前)の層序区間は数10cmスケールの明色層―暗色層互層で特徴づけられ、この期間で6回繰り返していることから~400年の周期をもつと計算される。これら明暗互層の明色部には更に厚さ数cmの様々な程度に赤味や黒味を帯びた薄層が繰り返し、数十年周期でも環境が激しく変動した事を示唆する。
堆積物の顕微鏡観察や色・鉱物・化学分析を予察的に行って、こうした変動の原因を調べた結果、数10cmスケールの明暗互層は、湖水位変動(乾湿変動)を反映している可能性が示唆された。数cmスケールの色の変化について、それがどの様な環境変動を反映しているかについては、今後の課題である。
上記の~400年周期の乾湿変動が顕著な時代区間は、カマン・カレホユックなどの遺跡において火災層が繰り返し出現する時代区間とほぼ一致し、出現周期も類似していることから両者の間に何らかの関係が示唆される。今後、両者の関係を明らかにするためには、両記録において、より精度が高く時間解像度も高い年代モデルの構築が不可欠である。