15:30 〜 15:45
[HQR06-01] 旧流路堆積物に対する長石OSL年代測定法の適用による下刻・隆起速度の推定:大井川の事例
★招待講演
キーワード:長石、ルミネッセンス、OSL、pIRIR、河成堆積物
日本列島の山地における10万年スケールの隆起速度は、主としてTerrace to Terrace法(TT法;吉山・柳田, 1995)に基づき推定されているが、気候段丘の分布の乏しい地域ではTT法を適用することができない。TT法の代替手法としては、環流旧河谷などの旧流路地形・堆積物の分布高度と離水年代に基づいた方法が提案されている(安江ほか, 2014;小形ほか, 2021)。この手法は、旧流路堆積物と現河床の比高を旧流路堆積物の離水時期で除することで河川の下刻速度を算出する方法である。対象とする河川が下刻速度と隆起速度が釣り合っている平衡河川であれば、下刻速度を隆起速度に読み替えることができる。
赤石山脈の隆起・削剥速度は全国的に見ても極めて速く、測地学的手法からは約70年間で最大2~4mm/yr(檀原, 1971)、熱年代学的手法からは約3Ma以降で最大約4mm/yr(Sueoka et al., 2017)と推定されている。しかし、赤石山脈を流れる大井川流域では気候段丘の発達が悪く、TT法による10万年スケールの隆起速度の推定は難しい。一方で、大井川流域では環流旧河谷が多数分布するため、旧流路地形・堆積物の分布高度と離水年代に基づく手法が適用可能と考えられる。
我々は、大井川中流部における隆起速度の推定及びその空間代表性の検証を目的として、環流旧河谷や河成段丘といった旧流路地形を対象に研究開発を進めており(小形ほか, 2022;塚原ほか, 2022)、年代適用範囲が数十万年前に及ぶ長石の光ルミネッセンス(OSL)年代測定法を用いて、旧流路堆積物の離水時期を推定している。本発表では、これまでの長石OSL年代測定結果及び下刻・隆起速度の推定結果について報告する。
本研究は、経済産業省資源エネルギー庁委託事業(JPJ007597)の「令和2~4年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(地質環境長期安定性評価技術高度化開発)」と「令和5年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(地質環境長期安定性総合評価技術開発)」の成果の一部である。
引用文献: 吉山・柳田(1995)地学雑誌, 104, 809-826. 安江ほか(2014)地学雑誌, 120, 435-445. 小形ほか(2021)第四紀研究, 60, 27-41. 檀原(1971)測地学会誌, 17, 100-108. Sueoka et al.(2017)JGR Solid Earth, 122, 6787-6810. 小形ほか(2022)JpGU2022, SCG42-P07. 塚原ほか(2022)日本第四紀学会 2022 年大会, P-04.
赤石山脈の隆起・削剥速度は全国的に見ても極めて速く、測地学的手法からは約70年間で最大2~4mm/yr(檀原, 1971)、熱年代学的手法からは約3Ma以降で最大約4mm/yr(Sueoka et al., 2017)と推定されている。しかし、赤石山脈を流れる大井川流域では気候段丘の発達が悪く、TT法による10万年スケールの隆起速度の推定は難しい。一方で、大井川流域では環流旧河谷が多数分布するため、旧流路地形・堆積物の分布高度と離水年代に基づく手法が適用可能と考えられる。
我々は、大井川中流部における隆起速度の推定及びその空間代表性の検証を目的として、環流旧河谷や河成段丘といった旧流路地形を対象に研究開発を進めており(小形ほか, 2022;塚原ほか, 2022)、年代適用範囲が数十万年前に及ぶ長石の光ルミネッセンス(OSL)年代測定法を用いて、旧流路堆積物の離水時期を推定している。本発表では、これまでの長石OSL年代測定結果及び下刻・隆起速度の推定結果について報告する。
本研究は、経済産業省資源エネルギー庁委託事業(JPJ007597)の「令和2~4年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(地質環境長期安定性評価技術高度化開発)」と「令和5年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(地質環境長期安定性総合評価技術開発)」の成果の一部である。
引用文献: 吉山・柳田(1995)地学雑誌, 104, 809-826. 安江ほか(2014)地学雑誌, 120, 435-445. 小形ほか(2021)第四紀研究, 60, 27-41. 檀原(1971)測地学会誌, 17, 100-108. Sueoka et al.(2017)JGR Solid Earth, 122, 6787-6810. 小形ほか(2022)JpGU2022, SCG42-P07. 塚原ほか(2022)日本第四紀学会 2022 年大会, P-04.