11:45 〜 12:00
[HSC07-11] ガスハイドレート層の浸透率変化に関する二次元CFD解析
キーワード:メタンハイドレート、CCS、マイクロモデル、海底地層
メタンハイドレートの開発や、メタンハイドレート濃集帯への二酸化炭素貯留において、ガスハイドレートを含む地層の浸透率を予測することは重要である。これまで、ハイドレート飽和率の関数として浸透率を表現する数理モデルがいくつか提案されてきたが、実験室で生成したガスハイドレートに対してはよく一致するものの、自然界のガスハイドレート層に対しては過小評価することがわかってきた。そこで本研究では、ガスハイドレートの分布の不均一さにその要因があると考え、数値解析を通じてその影響を考察した。 計算負荷の低減のため、計算領域は二次元とした。多孔質媒体の構成粒子表面にガスハイドレートが生成するGrain Coating型と孔隙中心に生成するPore Filling型の2つの型を想定し、それぞれの型に対して、ガスハイドレートの分布が均一な場合と不均一な場合について解析を行った。不均一な場合では、ガスハイドレートの厚みや粒径、生成箇所を変化させることで不均一さの度合いを変化させた。差圧や温度は固定し、計算された平均流速から浸透率を導出した。 ガスハイドレートが均一に分布する場合は、既往研究で報告されている通り、Grain Coating型の方がPore Filling型に比べ、同一飽和率における浸透率は高くなった。また、不均一に分布する場合は、同一の型で比較すると、ガスハイドレートの不均一さが増加するにつれて、浸透率は全体的に高くなった。これは、連通路の数が増えるためである。しかし、均一な場合と不均一な場合で比較すると、Grain Coating型とPore Filling型の浸透率の大小関係は逆転し、Grain Coating型では、均一分布よりも浸透率が低下することが明らかになった。これは、Grain Coating型では、個々のガスハイドレートが一定以上に大きくなると、流路の閉塞が連続的に起きるためと考えられる。ただし、この現象は、流路の幅や分岐が規則的に構成され、また、各ガスハイドレートの大きさが統一されていたために起きたものであり、各ガスハイドレートの大きさに分布を持たせたり、形状を変化させたりすることで、また、流路についても形状を変化させることで大きく結果が変わることが示唆された。一方、自然界で多く見られるPore Filling型では、不均一分布の方が均一分布に比べ浸透率が高くなることが明らかになり、これまでの実験結果を支持する結果となった。 謝辞 本研究は、経済産業省の委託により実施しているMH21-Sの研究の一部として実施した。ここに謝意を表す。
