[H-SC07] 地球温暖化防⽌と地学（CO2地中貯留・有効利⽤、地球⼯学）

[HSC07-P10] CO₂ハイドレートのセルフシーリングに与える堆積物粒子径の影響

寺畑 俊希¹、新井 佑奈¹、*今野 義浩¹、神 裕介² (1.東京大学、2.産業技術総合研究所)

キーワード：浸透率、コアフラッディングテスト、海底堆積物、地球温暖化

温室効果ガス削減の有力な手段としてCCSが注目されている。日本では遮蔽層を持つ帯水層への貯留が想定されているが、十分なポテンシャルを確保できるか不明瞭である。そこで、帯水層への貯留に加えてCO₂ハイドレートのセルフシーリングを利用したハイドレートCCSが検討されている。これまでの研究で、砂の粒径とガスハイドレートの生成速度に関係性があることが明らかになっていることから、本研究では、ハイドレートCCSを行う際の知見を得るために、層状のコアに液体CO₂の圧入実験を行い、粒径の違いがCO₂ハイドレートの生成やセルフシーリングに与える影響を実験的に解析した。
模擬堆積物として豊浦標準砂、東北珪砂8号の2種類をコア下端部から順に詰めて、層状のコアを作成した。7.5 MPa、8.5 ℃の条件下でコア下端から液体CO₂を圧入し、コア内の温度圧力を測定した。実験の結果、CO₂ハイドレートが不均一に生成し、部分的な閉塞は確認できたものの、完全なセルフシーリングには至らなかった。また、豊浦標準砂と東北珪砂8号の境界付近では、液体CO₂が多く観察され、CO₂ハイドレートはあまり生成しなかった。この現象は、液体CO₂が毛管圧の大きい東北珪砂8号の層に進入できず、境界付近に停滞したこと、その結果、孔隙水が排除され、CO₂ハイドレートの生成に必要な水が不足したことが原因と考えられる。以上から、ハイドレートCCS実施時には、CO₂ハイドレートが不均一に生成する可能性があること、特に粒径が異なる層の境界付近では、液体CO₂が停滞してハイドレートが生成しにくくなる可能性があることが明らかになった。