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[HTT14-03] 高精細多層地表情報の潮間帯における地生態学的調査への適用

キーワード:高精細多層地表情報、藻類分布、潮間帯、微地形、写真測量、iPhone-LiDAR
潮間帯とは,沿岸域での激しい潮位変化の影響を受ける陸域と海域の境界領域である。潮間帯では, 潮位変化によって海水の温度,塩分濃度,pHが変化し,海藻などの多様な生物がその環境要因の変化に適応しながら生息している。これらの環境条件は,地形や波の特性に影響を与える外部要因とも関連しており,岩石海岸の潮間帯に存在するタイドプールや崖の切れ目,岩の表面の粗さなどの微地形要素は, 生息する生物に,多様な生育環境を供給する重要な役割を果たしている。こうした微細な環境条件を理解するためには,潮間帯内での時空間的な変化を含む詳細なデータの取得が不可欠である。そのため,潮間帯での調査には,アクセス性の問題にも考慮した,効率的な計測手法の導入が求められる。従来の藻場調査の手法では,トランセクトに沿ったライン調査には膨大な労力と時間が必要とされることに加え, 衛星画像による広範囲の表層データは,解像度が50 cm程度までのものであり,小さな海藻植生の確認には不十分だと考えられている。本研究では,マルチバンド,サーマルセンサ,およびLiDAR(Light Detection and Ranging)センサを搭載した無人航空機(UAV)を活用して,潮間帯内での海藻植生,微地形要素,地表温度の変化の程度の確認を行った。また,従来の写真測量の手法であるSfM-MVS(Structure-from-Motion Multi-View Stereo)の原理によるポールカメラでの調査,およびスマートフォン搭載のモバイルLiDARを使用して,より詳細な地表情報を取得した。こうした新たな計測手法の有効性を従来手法と比較しながら取り上げ,調査対象や必要とされる情報に応じた計測方法の適合性,および将来の研究への適用の可能性について議論する。
