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[HTT16-02] 2021年2月15-16日に急発達した低気圧時の弘前の降水の水蒸気源
キーワード:降水、水蒸気、同位体、気象モデル
青森県日本海側に位置する豪雪地帯である弘前にて,2019年12月以降,冬季の降水に加え,2021年以降の水蒸気の同位体分析を行っている.上野他(2021)は,2020/2021冬季の弘前における日降水の同位体比から,最も同位体比の低い事例である,2月15-16日の降水事例を解析してきた.この事例は,急速に発達しながら三陸沖を北上した低気圧によるもので,爆弾低気圧と呼ばれることもある.アメダスは15日,青森で21mm, 弘前は13.5 mm, むつは31.5mmの日降水を記録した.また青森県の大間,黒石,三戸では2月の日最大風速記録が更新された.弘前は2/15 15JSTから23JSTにかけてまとまった降雨がみられ,以降は断続的な降水があった.
一般に低気圧の急発達の要因として上空の渦度移流,下層の温度移流,潜熱放出があげられるが,山口(2021)は同低気圧発達につき力学および熱力学的解析を行い,この事例は小笠原沖の海面からの潜熱加熱や傾圧発達,上層渦位の相互作用の寄与が大きかったことを明らかにした.
同イベントにおける弘前への降水起源の推定のため,同位体領域スペクトルモデル (IsoRSM, Yoshimura et al., 2010)を用いた解析を行ってきたが(上野ほか, 2021; 上野2022),今回報告する数値実験は,従来日本海側の冬季降水の水蒸源としてとりあげられる日本海(120-140E/35-50N)や東シナ海 (120-140E/20-35N)に加え,太平洋(北:140-160E/35-50N; 南 140-160E/20-35N)も含む4つの領域(海域)から蒸発する水の寄与を計算した.本実験ではERA5により駆動する同位体大気大循環モデルIsoGSM (T248)を初期境界条件として,IsoRSMを30km解像度で計算した.
最も同位体比の低い計測値の期間(2/15 3UTC – 2/16 3UTC)の前半,弘前で降雨が見られた2/15 12UTCまでは,弘前の降水に対して太平洋南からの蒸発の寄与が大きく(ピーク時で60%),太平洋北起源が続いた(20%).上野(2022)でT2とした12UTC-18UTCは,日本海(~30%),東シナ海,太平洋南起源の水蒸気が混在した.T2期間中次第に日本海起源の割合が高くなり,弘前で降雪が見られた20UTC以降(上野2022 ではT3)は低気圧が急激に発達した日本の南東太平洋からの蒸発の寄与は低くなり,2/16 00UTCからはほぼ日本海からの蒸発の寄与にかわったことが明らかになった.
一般に低気圧の急発達の要因として上空の渦度移流,下層の温度移流,潜熱放出があげられるが,山口(2021)は同低気圧発達につき力学および熱力学的解析を行い,この事例は小笠原沖の海面からの潜熱加熱や傾圧発達,上層渦位の相互作用の寄与が大きかったことを明らかにした.
同イベントにおける弘前への降水起源の推定のため,同位体領域スペクトルモデル (IsoRSM, Yoshimura et al., 2010)を用いた解析を行ってきたが(上野ほか, 2021; 上野2022),今回報告する数値実験は,従来日本海側の冬季降水の水蒸源としてとりあげられる日本海(120-140E/35-50N)や東シナ海 (120-140E/20-35N)に加え,太平洋(北:140-160E/35-50N; 南 140-160E/20-35N)も含む4つの領域(海域)から蒸発する水の寄与を計算した.本実験ではERA5により駆動する同位体大気大循環モデルIsoGSM (T248)を初期境界条件として,IsoRSMを30km解像度で計算した.
最も同位体比の低い計測値の期間(2/15 3UTC – 2/16 3UTC)の前半,弘前で降雨が見られた2/15 12UTCまでは,弘前の降水に対して太平洋南からの蒸発の寄与が大きく(ピーク時で60%),太平洋北起源が続いた(20%).上野(2022)でT2とした12UTC-18UTCは,日本海(~30%),東シナ海,太平洋南起源の水蒸気が混在した.T2期間中次第に日本海起源の割合が高くなり,弘前で降雪が見られた20UTC以降(上野2022 ではT3)は低気圧が急激に発達した日本の南東太平洋からの蒸発の寄与は低くなり,2/16 00UTCからはほぼ日本海からの蒸発の寄与にかわったことが明らかになった.