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[HTT18-P03] 比抵抗モニタリングによる比抵抗と電極移動量の解析
キーワード:比抵抗モニタリング、比抵抗、電極移動量、スパースインバージョン
1. はじめに
比抵抗モニタリングは同じ場所で繰り返し測定することで地盤の比抵抗変化を検出することが可能であるため,地下水位の把握や地盤改良の評価など様々な目的で用いられる.
一般的に比抵抗モニタリングは地盤の比抵抗変化を検出するために用いられるが,Wilkinson et al(2010)は比抵抗モニタタリングによって観測された見かけ比抵抗の変化から地すべりによって生じた電極移動量を推定している.また,Loke et al(2018)は平滑化拘束付き最小二乗法を用いて比抵抗と電極の移動量を同時に解析する手法を開発した.このように比抵抗モニタリングによって比抵抗変化と電極移動量を推定することで,斜面崩壊の前兆を捉えられる可能性がある.
本研究では,従来の解析手法と異なり,スパースモデリングを用いた比抵抗と電極移動量を解析する手法を開発し,数値実験により解析手法の有効性について検証した.
2. 手法
Kisanuki et al(2022)によるスパースモデリングを用いた比抵抗モニタリングの解析を拡張した.この解析手法は比抵抗を未知係数としているが,未知パラメータに,測線方向に対して水平方向と垂直方向の移動量を追加した.開発した手法は,初期値を基準として比抵抗の時系列変化と電極の移動量に対してスパース性を仮定した解析となっている.
3. 数値実験
開発した手法の有効性を検証するために数値実験を実施した.地盤は2層構造とし,電極間隔50cm,電極数を21本,2極法によって初期の測定データを計算した.このデータを逆解析することで得られた比抵抗構造を,開発した手法の初期モデルとして使った.次に,1層目の比抵抗を変化させ,水平方向に電極を1本動かした場合と垂直方向に電極を1本動かした場合の,2通りの条件を設定した.それぞれの条件で電極を1,2,5,10cm動かした場合の測定データを計算し,開発した手法で比抵抗と移動量を推定した.その結果,解析によって得られた移動量は電極間隔に対して最大3%の誤差はあるものの,比抵抗と電極の移動量を同時に解析することができた.
4. おわりに
本研究では,比抵抗モニタリングの観測データから比抵抗と移動量を同時に解析する手法を開発した.数値実験より,両者を推定できることが分かった.今後は実データに適用し,解析手法の有効性について検討することが必要である.
参考文献:
Wilkinson, P.B., Chambers, J.E., Meldrum, P.I., Gunn, D.A., Ogilvy, R.D. and Kuras, O., 2010. Predicting the movements of permanently installed electrodes on an active landslide using time-lapse geoelectrical resistivity data only, Geophys. J. Int., 183, 543-556.
Loke, M.H., Wilkinson P.B., Chambers, J.E. and Meldrum P.I., 2018. Rapid inversion of data from 2D resistivity surveys with electrode displacements, Geophysical Prospecting, 66, 579-594.
Kisanuki, H. and Sakurai, K., 2022. Time-lapse inversion of resistivity data by using sparse modeling, JPGU 2022.
比抵抗モニタリングは同じ場所で繰り返し測定することで地盤の比抵抗変化を検出することが可能であるため,地下水位の把握や地盤改良の評価など様々な目的で用いられる.
一般的に比抵抗モニタリングは地盤の比抵抗変化を検出するために用いられるが,Wilkinson et al(2010)は比抵抗モニタタリングによって観測された見かけ比抵抗の変化から地すべりによって生じた電極移動量を推定している.また,Loke et al(2018)は平滑化拘束付き最小二乗法を用いて比抵抗と電極の移動量を同時に解析する手法を開発した.このように比抵抗モニタリングによって比抵抗変化と電極移動量を推定することで,斜面崩壊の前兆を捉えられる可能性がある.
本研究では,従来の解析手法と異なり,スパースモデリングを用いた比抵抗と電極移動量を解析する手法を開発し,数値実験により解析手法の有効性について検証した.
2. 手法
Kisanuki et al(2022)によるスパースモデリングを用いた比抵抗モニタリングの解析を拡張した.この解析手法は比抵抗を未知係数としているが,未知パラメータに,測線方向に対して水平方向と垂直方向の移動量を追加した.開発した手法は,初期値を基準として比抵抗の時系列変化と電極の移動量に対してスパース性を仮定した解析となっている.
3. 数値実験
開発した手法の有効性を検証するために数値実験を実施した.地盤は2層構造とし,電極間隔50cm,電極数を21本,2極法によって初期の測定データを計算した.このデータを逆解析することで得られた比抵抗構造を,開発した手法の初期モデルとして使った.次に,1層目の比抵抗を変化させ,水平方向に電極を1本動かした場合と垂直方向に電極を1本動かした場合の,2通りの条件を設定した.それぞれの条件で電極を1,2,5,10cm動かした場合の測定データを計算し,開発した手法で比抵抗と移動量を推定した.その結果,解析によって得られた移動量は電極間隔に対して最大3%の誤差はあるものの,比抵抗と電極の移動量を同時に解析することができた.
4. おわりに
本研究では,比抵抗モニタリングの観測データから比抵抗と移動量を同時に解析する手法を開発した.数値実験より,両者を推定できることが分かった.今後は実データに適用し,解析手法の有効性について検討することが必要である.
参考文献:
Wilkinson, P.B., Chambers, J.E., Meldrum, P.I., Gunn, D.A., Ogilvy, R.D. and Kuras, O., 2010. Predicting the movements of permanently installed electrodes on an active landslide using time-lapse geoelectrical resistivity data only, Geophys. J. Int., 183, 543-556.
Loke, M.H., Wilkinson P.B., Chambers, J.E. and Meldrum P.I., 2018. Rapid inversion of data from 2D resistivity surveys with electrode displacements, Geophysical Prospecting, 66, 579-594.
Kisanuki, H. and Sakurai, K., 2022. Time-lapse inversion of resistivity data by using sparse modeling, JPGU 2022.