日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS08] ジオパーク

2024年5月27日(月) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:尾方 隆幸(琉球大学大学院理工学研究科)、田所 敬一(名古屋大学地震火山研究センター)、松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、道家 涼介(弘前大学大学院理工学研究科)

17:15 〜 18:45

[MIS08-P06] ジオパークに看板はいくつ必要か?ージオパークにおけるビジビリティの評価ー

*大野 希一1 (1.一般社団法人 鳥海山・飛島ジオパーク推進協議会)

キーワード:ジオパーク、看板、視認性

ジオパークエリアには、少なくとも4種類のパネル(エリアの境界に設置されたゲートウェイサイン、サイトの位置関係を示す総合案内板、サイトへのアクセスを助ける誘導標識、サイトの見どころや価値を伝える解説板;大野,2021)が設置され、それぞれの役割に応じて、ジオパークエリアの情報を発信している。これらの看板に求められる共通の役割は、ここがジオパークエリアである事を地域住民や来訪者に伝え、ジオパークの視認性(ビジビリティ)を向上させることにある。
 しかしながら、看板は設置に係る用地交渉の手間や設置費用が掛かるため、やみくもに建てることはできない。にもかかわらず、ジオパークの(再)審査の中では、国内外を問わず、エリア内におけるジオパークという文字やロゴマークの視認性が現地で確認されることが多い。よって、ジオパークエリアでは、少ない看板でその視認性を向上させるための計画性や戦略が必要となる。そこで本発表では、ジオパークエリア内にどの程度の数の看板類を設置すれば視認性に対する課題が(ある程度)解決されるか、という点を議論したい。
 ジオパークエリア内におけるジオパークの視認性は、ジオパークに関する文字やロゴマークの出現頻度に依存する。すなわち、来訪者がジオパークエリアの入り口やエリア内で「ジオパーク」という文字やロゴマークを認知した後、それが来訪者の記憶の中に残ったまま移動し、別の場所でジオパークの文字やロゴマークを認知すれば「視認性が高い」という評価になる。これは「ジオパーク」に関する文字やロゴの設置密度として表現できる。よって、4種類の看板の総数をジオパークの陸域面積で割れば、看板を用いた視認性が評価できることになる。
 予察的な結果では、4種類の看板の総数とジオパークの陸域面積(km2)の比が「0.1」程度であれば、一定レベルの視認性が得られているような印象がある。もしこの値が一つの目安として活用できるのであれば、ジオパークエリア内に十分な数の看板があるのか、それとも不足しているのかが評価できるため、今後の看板設置に関する事業を推進する際の判断材料になる。しかし、ジオパークの視認性の評価は総合的に行われるものであり、「看板が少ないからビジビリティが低い」という短絡的なものではない。本発表が、ジオパークエリアの視認性をどう評価するかを検討するきっかけになれば幸いである。