17:15 〜 18:45
[MIS09-P07] 東京湾に流出する河川下流・河口域におけるマイクロプラスチックの特徴と堆積環境
キーワード:マイクロプラスチック、河川下流・河口域、堆積環境、汽水、堆積物攪拌
プラスチックは軽量で加工しやすく, 化学的に安定している為, 様々な用途で使用されているが, 同時に環境中に放出されるプラスチックも増加している. これらのプラスチックは海洋に移行するが, 運搬中に物理的・化学的影響を受け微細化することでマイクロプラスチック(Micro Plastics; MPs)となる. MPsは生態系破壊や環境汚染の要因であることが指摘されており, その対策が急務となっている. 河川は陸域から海洋へMPsの主要な運搬経路であり, 河底堆積物はその貯留源となることが近年の研究で明らかになっている. 河川水中を移動するMPsが沈降して堆積物に移行する条件や環境を理解することは, 河口域におけるMPs動態の解明に繋がる.
本研究では, 東京湾に流入する多摩川, 江戸川, 花見川河口部と荒川下流部で堆積物を採取し, 堆積物中のMPs特性の決定に加え堆積物の分析を行い, 堆積物中のMPs分布を制御する要因を明らかにすることを目的とした.
多摩川, 江戸川, 花見川河口部, 荒川下流部すべてのサイトで採取した堆積物中にMPsが含まれ, 特に破片状の形状が卓越していた. 種別としては高密度のポリエチレンテレフタレートやアクリルゴムの他に, 低密度のポリエチレンやポリプロピレンも確認され, 低密度のMPsでも沈降して堆積することが明らかになった. MPsの深度分布は深度によらず, 多くのMPsが堆積物中に含まれており,特に河口部でMPs濃度が高い傾向があった. これは河口周辺が汽水域となっており, 砕屑粒子の凝集作用によって, MPsが一度堆積すると再浮遊・再輸送されにくく, 凝集によって沈降速度が早く、圧密して堆積することから間隙が小さくなり、MPsが堆積物中に保存される為であると考えられる. また, 江戸川河口部では沖合に向かうにつれ, 表層付近でMPsが確認でされなかったことから、表層付近に堆積するものは潮汐作用と生物攪乱による攪拌作用を受け, 海洋への流出や深部への移動・分解が起こっていると考えられる. これらMPsは堆積物中で固定化と微細化が働いていることが示唆される. 特に間隙補填作用と堆積環境がMPs堆積に大きく影響することが明らかになった. 河川下流・河口部では汽水や堆積物中に生息する底生生物の存在により, 河川や海洋と異なるプロセスで相対的に細粒なMPsが集積しやすい環境であると考えられ, 陸と海の接続地域としてではなく, MPsの貯蔵庫として海洋と一体化した理解が必要である.
本研究では, 東京湾に流入する多摩川, 江戸川, 花見川河口部と荒川下流部で堆積物を採取し, 堆積物中のMPs特性の決定に加え堆積物の分析を行い, 堆積物中のMPs分布を制御する要因を明らかにすることを目的とした.
多摩川, 江戸川, 花見川河口部, 荒川下流部すべてのサイトで採取した堆積物中にMPsが含まれ, 特に破片状の形状が卓越していた. 種別としては高密度のポリエチレンテレフタレートやアクリルゴムの他に, 低密度のポリエチレンやポリプロピレンも確認され, 低密度のMPsでも沈降して堆積することが明らかになった. MPsの深度分布は深度によらず, 多くのMPsが堆積物中に含まれており,特に河口部でMPs濃度が高い傾向があった. これは河口周辺が汽水域となっており, 砕屑粒子の凝集作用によって, MPsが一度堆積すると再浮遊・再輸送されにくく, 凝集によって沈降速度が早く、圧密して堆積することから間隙が小さくなり、MPsが堆積物中に保存される為であると考えられる. また, 江戸川河口部では沖合に向かうにつれ, 表層付近でMPsが確認でされなかったことから、表層付近に堆積するものは潮汐作用と生物攪乱による攪拌作用を受け, 海洋への流出や深部への移動・分解が起こっていると考えられる. これらMPsは堆積物中で固定化と微細化が働いていることが示唆される. 特に間隙補填作用と堆積環境がMPs堆積に大きく影響することが明らかになった. 河川下流・河口部では汽水や堆積物中に生息する底生生物の存在により, 河川や海洋と異なるプロセスで相対的に細粒なMPsが集積しやすい環境であると考えられ, 陸と海の接続地域としてではなく, MPsの貯蔵庫として海洋と一体化した理解が必要である.