日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS11] 山の科学

2024年5月27日(月) 13:45 〜 15:00 201B (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)、佐々木 明彦(国士舘大学文学部史学地理学科 地理・環境コース)、奈良間 千之(新潟大学理学部フィールド科学人材育成プログラム)、西村 基志(信州大学 先鋭領域融合研究群 山岳科学研究拠点)、座長:西村 基志(国立極地研究所 北極観測センター)、苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)

13:45 〜 14:00

[MIS11-01] 中部山岳地域における標高と季節による気温変動の差異

*鈴木 啓助1 (1.信州大学山の環境研究センター)

キーワード:年平均気温、季節平均気温

日本の標高の低い観測地点での年平均気温は,緯度との相関が良く,より南の地点で高く北の地点では低くなる.一方で,標高が高い観測地点での年平均気温は,標高が低い観測地点での年平均気温よりも低くなる.また,低標高の観測地点での近年の気温上昇傾向が顕著であるにもかかわらず,高標高の観測地点での気温上昇傾向は必ずしも明瞭ではないことが報告されている.そこで,日本の屋根とも呼ばれる中部山岳地域における近年の気温の変動傾向を検討する.使用するデータは中部山岳地域における気象庁の気温観測結果である.中部山岳地域の14地点の近年の34年間では,標高の低い地点での年平均気温の上昇傾向は統計的に有意な地点が多いが,標高の高い地点では年平均気温の上昇傾向は不明瞭になる.冬季平均気温については,いずれの地点でも変動傾向が統計的に有意ではなく,14地点にうち9地点で近年の34年間では下降傾向である.春季と夏季の季節平均気温はいずれの地点でも,近年の34年間では上昇傾向にある.秋季平均気温では,松本でのみ有意水準1%以下で統計的に有意に上昇傾向にある.富士山,高山,甲府では有意水準5%以下で統計的に有意に上昇傾向にある.中部山岳地域で比較的標高が低く周囲の人口が多い地点では,近年の気温上昇傾向が顕著であり,比較的標高が高く周囲の人口が多くない地点では,ここ34年間の気温の変動傾向が明瞭ではない.