日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS16] 惑星火山学

2024年5月29日(水) 15:30 〜 16:45 105 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:野口 里奈(新潟大学 自然科学系)、諸田 智克(東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻)、下司 信夫(産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)、座長:野口 里奈(新潟大学 自然科学系)、諸田 智克(東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻)、下司 信夫(産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)

16:00 〜 16:15

[MIS16-03] 小型楯状火山の地形・空間解析から探る火星の中央エリシウム平原における火山活動

*河野 元彦1野口 里奈1、Adrien Broquet2 (1.新潟大学 自然科学系、2.アリゾナ大学 LPL)

キーワード:火星、小型楯状火山、マントルプルーム、中央エリシウム平原、ケルベロス地溝帯

火星の中央エリシウム平原(Central Elysium Planitia, 以下CEP)は複数の証拠から、マントルプルームの存在が示唆されている(Broquet & Andrews-Hanna, 2023)。現在も活発なマントルプルームの存在および火星で最も若い表層年代を持つことから、CEPはアマゾニア紀における火山活動を制約する上で極めて重要な地域と言える。そのマントルプルームを起源とすると考えられるCEPの溶岩平原は、大部分がケルベロス地溝帯(Cerberus Fossae)から噴出した溶岩で形成されている。また、小型楯状火山(low shield、以下LS)から噴出した溶岩によって形成された領域も存在する。44個観測されているLSを詳細に調査することで、CEPの火山活動史についてこれまで以上に分解能を高めた理解が可能となる。

LSの火口は特定方向に延びているものが多く、その方向は噴火中の地下応力の方向を示していると考えられる。また、主なLSはCEPを東西に延びるケルベロス地溝帯に沿って分布しているが、ケルベロス地溝帯から南北に連なるLSも存在する。もしかすると、LSの分布はマントルプルームを中心とした岩脈群を表しているのかもしれない。

そこで本研究では、CEPで見られる44個のLSを対象に、地形・空間分布の解析を行った。これらのLSについて、クレーター年代学を用いて各山体の形成年代を推定した。応力場についてはBroquet and Andrews-Hanna, 2023で用いられているシミュレーターから推定した。本発表ではこれらの結果を紹介し、LSの火口長軸方向と地下応力場との相関などについて議論する。