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[MIS19-P02] ランパートクレーターの分布・形態に基づく火星地下氷圏の探索

キーワード:火星、地下氷、氷圏、ランパートクレーター
火星は過去にその表層に液体の水を保持しうるほど温暖湿潤な環境であり、その後火星史を通じて宇宙空間に散逸していったと考えられている。一方で周回機の観測により火星の表面に露出した氷が見つかっていることから、現在でも火星には水が氷として存在していることが明らかとなっている。しかし、散逸した水と現在観測から明らかになっている氷を合わせても(全球等水層で換算)古海洋の量と一致していない。火星の地下に古海洋の一部が現存していると示唆され、衝突クレーターであるランパートクレーターは地下の揮発性物質に富む層に衝突したことにより形成されたと考えられている[1など]ため、形成当時の地下氷の存在指標となる。
ランパートクレーターは1層 、2層、それ以上の多数層のローブ を持つものとしてそれぞれSingle-Layered Ejecta (SLE) , Double-Layered Ejecta (DLE) , Multiple-Layered Ejecta (MLE) クレーターと分類することができる。DLEクレーターの2層のローブは厚いインナーローブと薄いアウターローブに分かれている。厚いインナーローブは地下の揮発性物質由来で形成され、薄いアウターローブはイジェクタカーテンが大気と相互作用し形成された[2]と提案されている。一方でSLEクレーターは揮発性物質由来の形成、大気由来の形成があるため形成当時の地下氷の指標とするには留意を要する。先行研究ではSLE, DLE, MLEクレーターごとの分類に基づく分布は調査されているが[1, 3 など]、SLEクレーターの揮発性物質由来と大気由来での分類は成されていない。そこで、揮発性物質由来と大気由来のSLEクレーター分類を含めたランパートクレーターの分布を調査する必要がある。しかし目視での分類には熟練を要することやクレーターの数の多さから、ランパートクレーターの形態分類とその分布に基づき地下氷の深度を推定するのは極めて困難である。そこで、機械学習での分類モデルを用いて火星に見られるランパートクレーターを高解像度可視画像と熱赤外画像を用いて分類テストを行なった。このトレーニングでの精度結果を報告する。
[1] Weiss, David K., and James W. Head. "Formation of double‐layered ejecta craters on Mars: A glacial substrate model." Geophysical Research Letters 40.15 (2013): 3819-3824. [2] Schultz, Peter H. "Atmospheric effects on ejecta emplacement." Journal of Geophysical Research: Planets 97.E7 (1992): 11623-11662. [3] Li, Li, et al. "Observations of Martian layered ejecta craters and constraints on their formation mechanisms." Meteoritics & Planetary Science 50.3 (2015): 508-522.
ランパートクレーターは1層 、2層、それ以上の多数層のローブ を持つものとしてそれぞれSingle-Layered Ejecta (SLE) , Double-Layered Ejecta (DLE) , Multiple-Layered Ejecta (MLE) クレーターと分類することができる。DLEクレーターの2層のローブは厚いインナーローブと薄いアウターローブに分かれている。厚いインナーローブは地下の揮発性物質由来で形成され、薄いアウターローブはイジェクタカーテンが大気と相互作用し形成された[2]と提案されている。一方でSLEクレーターは揮発性物質由来の形成、大気由来の形成があるため形成当時の地下氷の指標とするには留意を要する。先行研究ではSLE, DLE, MLEクレーターごとの分類に基づく分布は調査されているが[1, 3 など]、SLEクレーターの揮発性物質由来と大気由来での分類は成されていない。そこで、揮発性物質由来と大気由来のSLEクレーター分類を含めたランパートクレーターの分布を調査する必要がある。しかし目視での分類には熟練を要することやクレーターの数の多さから、ランパートクレーターの形態分類とその分布に基づき地下氷の深度を推定するのは極めて困難である。そこで、機械学習での分類モデルを用いて火星に見られるランパートクレーターを高解像度可視画像と熱赤外画像を用いて分類テストを行なった。このトレーニングでの精度結果を報告する。
[1] Weiss, David K., and James W. Head. "Formation of double‐layered ejecta craters on Mars: A glacial substrate model." Geophysical Research Letters 40.15 (2013): 3819-3824. [2] Schultz, Peter H. "Atmospheric effects on ejecta emplacement." Journal of Geophysical Research: Planets 97.E7 (1992): 11623-11662. [3] Li, Li, et al. "Observations of Martian layered ejecta craters and constraints on their formation mechanisms." Meteoritics & Planetary Science 50.3 (2015): 508-522.