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[MIS20-P04] 福島県浪江町請戸地区における堆積環境の変遷と古津波履歴

キーワード:津波堆積物
本発表では、福島県浪江町請戸地区で2021年と2023年に実施した掘削結果をもとに、イベント堆積物と堆積環境の変遷について議論する。当地域は今泉ほか(2008)によって津波堆積物の予察的報告がなされている。紀元前3700年~紀元前3000年ごろの沼沢湖テフラ(山元, 2003)が検出されており、現在から過去6500年前までの連続した地質記録が保存されている。当地域の津波堆積物に関する知見を仙台平野と対比することで、日本海溝中部の古津波履歴解明に貢献できると考えられる。
2021年は海陸方向の測線に沿って6箇所(UD1~6)、2023年にはこれと同方向で300m北に離れた新たな測線に沿って7箇所(UK1~6)でコアを採取した。2023年のコアで最もイベント層の多いUK4地点は、上位から土壌が層厚0.5 m、有機質シルト層が層厚1.5 m、その下に細粒砂や中粒砂からなる砂丘または浜堤堆積物が続く堆積相であった。このUK4地点では有機質シルト中に8層の砂質イベント堆積物と灰色のシルトからなるイベント堆積物3層を認定した。この砂質イベント堆積物について放射性炭素年代測定を実施し、UD系列のコアとUK系列のコアが良好に対比できることを確認した。一方、灰色のシルト層はその堆積相に違いがみられた。UD2地点で1 cm程度だった灰色のシルト層は、UK4地点では3 cm程度と厚くなり、また、その枚数も1層から3層へと増加した。これはUK4地点がUD2地点よりも標高で0.5 mほど低く窪んだ地形をしていることで、堆積物の保存性可能性が高まったためと考えられる。これらのシルト層には、含有鉱物や堆積構造において違いが認められた。そこで本発表では、採取試料の珪藻分析やCNS分析を実施した結果をもとに、シルト層の供給源や当時の堆積環境を検討し、当地域における正確な古津波履歴復元の可能性を議論する。
2021年は海陸方向の測線に沿って6箇所(UD1~6)、2023年にはこれと同方向で300m北に離れた新たな測線に沿って7箇所(UK1~6)でコアを採取した。2023年のコアで最もイベント層の多いUK4地点は、上位から土壌が層厚0.5 m、有機質シルト層が層厚1.5 m、その下に細粒砂や中粒砂からなる砂丘または浜堤堆積物が続く堆積相であった。このUK4地点では有機質シルト中に8層の砂質イベント堆積物と灰色のシルトからなるイベント堆積物3層を認定した。この砂質イベント堆積物について放射性炭素年代測定を実施し、UD系列のコアとUK系列のコアが良好に対比できることを確認した。一方、灰色のシルト層はその堆積相に違いがみられた。UD2地点で1 cm程度だった灰色のシルト層は、UK4地点では3 cm程度と厚くなり、また、その枚数も1層から3層へと増加した。これはUK4地点がUD2地点よりも標高で0.5 mほど低く窪んだ地形をしていることで、堆積物の保存性可能性が高まったためと考えられる。これらのシルト層には、含有鉱物や堆積構造において違いが認められた。そこで本発表では、採取試料の珪藻分析やCNS分析を実施した結果をもとに、シルト層の供給源や当時の堆積環境を検討し、当地域における正確な古津波履歴復元の可能性を議論する。