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[MIS22-P15] 琉球海溝・南海トラフ域海底泥火山群におけるプランクトン分布調査
キーワード:化学合成生態系、プランクトン幼生、群集組成
泥火山は地球内部から表層に様々な物質を供給する窓口の一つであり、特に海域泥火山からのメタン排出量は地球環境にも影響すると予想されている。一方で、メタンをはじめ海域泥火山から供給される化学物質は、化学合成微生物によって一次生産に利用され、多くの固有種からなる化学合成生態系を胚胎することも知られている。化学合成生態系の固有種の多くは底生性であり成体の移動能力は高くないが、海底に断続的に分布する類似環境に同一種が分布していることが知られている。これは生物が受精卵あるいはプランクトン幼生期に海流によって海洋中を輸送され、生存に適した環境に着底し成体に変態して化学合成生物群集に加入、あるいは新たな環境に生物群集を構築するためである。化学合成生態系固有種の一部は、海底資源開発の対象海域に生息することから絶滅危惧種への指定も進んでおり、その個体群動態を把握することは海洋生態系の保全のために重要である。しかしながら、個体群動態を大きく左右するプランクトン期の動態は、ほとんど明らかになっていない。本研究では、琉球海溝から南海トラフにかけて多様な泥火山が分布する海域においてプランクトン群集の鉛直分布を明らかにすることにより、化学合成生態系固有種のプランクトン幼生期の動態を明らかにすることを試みた。