日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT38] インフラサウンド及び関連波動が繋ぐ多圏融合地球物理学の新描像

2024年5月30日(木) 10:45 〜 12:15 303 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:山本 真行(高知工科大学 システム工学群)、西川 泰弘(高知工科大学 システム工学群)、市原 美恵(東京大学地震研究所)、乙津 孝之(一般財団法人 日本気象協会)、座長:西川 泰弘(高知工科大学 システム工学群)、中島 健介(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)

10:45 〜 11:00

[MTT38-06] レーザ干渉計を用いた大気圧付近の動的圧力計測技術の開発-第2報-

★招待講演

*高原 大地1、飯泉 英昭1、梶川 宏明1 (1.産業技術総合研究所)

キーワード:レーザ干渉計、大気圧センサ、動的特性(振幅・位相)、校正

インフラサウンド観測機器で用いられる大気圧センサを評価・校正する際の基準として、大気圧センサの動的特性(振幅および位相の周波数特性)を評価できる装置の開発に取り組んでいる。圧力振幅は10 Paから1000 Paまで、周波数では0.001 Hzから20 Hzまでの範囲で評価することを目標とする。本技術によりインフラサウンド観測の信頼性向上に貢献することを目指す。
本評価装置は、加振器に締結されたベローズ(圧力発生装置)と、測定側圧力容器および参照側圧力容器、レーザ干渉計により構成される。ローレンツ・ローレンツの式および理想気体の状態方程式より、測定側圧力容器の圧力を変化させると、屈折率および光路長にも変化が生じる。一方で、参照側圧力容器内の圧力は一定に保たれている。二つの圧力容器の光路長差をレーザ干渉計により測定することで周期的に変化する二つの容器間の差圧を計測して、時間変化する圧力の計測を行う。干渉計での計測波形と評価・校正対象の大気圧センサの計測波形を比較して動的特性を評価する。評価の流れとしては、あらかじめレーザ干渉計で測定した光路長差の値を静的に圧力標準により値付ける。圧力発生装置で正弦波状の動的圧力を発生させた際に、レーザ干渉計で計測した周期的に変化する光路長差の波形の値を、圧力標準により値付けた結果を利用して差圧に換算する。換算した結果と測定側容器に接続された評価対象の大気圧センサの計測波形を比較することにより評価を行う。
本報告では、静的圧力(時間変化しない圧力)下での本評価装置の特性を静的特性として、その確認を行った。具体的には、レーザ干渉計の計測値の短期的(数秒)および長期的(数時間)な安定性、干渉計の計測値と高精度な差圧計の計測値との間にある線形性、干渉計の計測値の繰り返し性、についての確認を行った。
また、動的圧力(時間変化する圧力)を上記の圧力発生装置により正弦波状に発生させ、その際の本装置の特性を動的特性として、その評価を行う。具体的には、正弦波状の動的圧力発生時に起こる温度変化がレーザ干渉計の計測値に及ぼす影響の評価や、圧力発生装置のベローズの振幅との比較によりレーザ干渉計の計測値の周波数特性(振幅・位相)について評価を行う予定である。