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[MZZ42-P05] マンガン団塊、海底直上水、及び堆積物から遺伝子解析用試料を効率的にサンプリングする方法
キーワード:マンガン団塊、直上水、遺伝子解析、CCZ
近年、海底資源の開発計画が進められているが、その周辺海域への環境影響が懸念されている。探査・開発における重要な課題の一つとして、海洋環境や生物多様性の保全について議論がなされている。例えば、国連海洋法条約に基づき設立された国際海底機構(International Seabed Authority,ISA)は、環境ベースラインデータの取得、環境影響評価、環境モニタリング調査を実施することを勧告している。マンガン団塊が豊富に賦存していることが知られているClarion-Clipperton Fracture Zone (CCZ) では、Global Sea Mineral Resources (GSR) やBundesanstalt für Geowissenschaften und Rohstoffe (BGR) 等が採鉱試験機の技術試験とそれに伴う詳細なモニタリング調査を実施しており(Peacock, 2023)、今後の参考になると考えられる。
マンガン団塊の採鉱では、ノジュールが失われることと、採鉱に伴って発生する懸濁プリュームが広範囲に再堆積することにより、広範囲の深海生物圏に影響が及ぶと想定される。例えば、マンガン団塊の表面にはノジュールファウナが付着しており、採鉱活動によってその多様性が減少することが懸念されている(Vanreusel et al., 2016など)。また、採鉱による潜在的な影響を明らかにするため、堆積物のメイオファウナの現存量と組成、多様性に対してノジュールが存在することの重要性が調査され、ノジュールの隙間に生息するメイオファウナの存在と組成が評価されている(Pape et al., 2021)。しかし、微生物群集に関する研究は少なく、手法が確立されていない。
よって、本研究では採鉱によって原核生物が受ける影響を評価することを目指し、まずはそれらの群集組成と多様性を把握するため、2019年にCCZで堆積物、マンガン団塊、海底直上水をサンプリングし、DNA分析用試料を分取した。サンプリング方法及び試料を分取する細かい手順については事前に検討し、簡便で効率的な方法を考案した。具体的には、マルチプルコアラーで堆積物を採取するとともに、フレームに取り付けたニスキン採水器を用いて海底直上水(底上70 cm)を効率的に採取することに成功した。マンガン団塊はマルチプルコアラーまたはボックスコアラ―で採取し、その表面を滅菌したおろし金で削り取ることにより、簡便かつクリーンな方法を確立することができた。これらの方法を用いて得られた試料について,CCZの深海生物圏における原核生物に関する詳細な遺伝子解析が実施された(Tominaga et. al., 2023)。
マンガン団塊の採鉱では、ノジュールが失われることと、採鉱に伴って発生する懸濁プリュームが広範囲に再堆積することにより、広範囲の深海生物圏に影響が及ぶと想定される。例えば、マンガン団塊の表面にはノジュールファウナが付着しており、採鉱活動によってその多様性が減少することが懸念されている(Vanreusel et al., 2016など)。また、採鉱による潜在的な影響を明らかにするため、堆積物のメイオファウナの現存量と組成、多様性に対してノジュールが存在することの重要性が調査され、ノジュールの隙間に生息するメイオファウナの存在と組成が評価されている(Pape et al., 2021)。しかし、微生物群集に関する研究は少なく、手法が確立されていない。
よって、本研究では採鉱によって原核生物が受ける影響を評価することを目指し、まずはそれらの群集組成と多様性を把握するため、2019年にCCZで堆積物、マンガン団塊、海底直上水をサンプリングし、DNA分析用試料を分取した。サンプリング方法及び試料を分取する細かい手順については事前に検討し、簡便で効率的な方法を考案した。具体的には、マルチプルコアラーで堆積物を採取するとともに、フレームに取り付けたニスキン採水器を用いて海底直上水(底上70 cm)を効率的に採取することに成功した。マンガン団塊はマルチプルコアラーまたはボックスコアラ―で採取し、その表面を滅菌したおろし金で削り取ることにより、簡便かつクリーンな方法を確立することができた。これらの方法を用いて得られた試料について,CCZの深海生物圏における原核生物に関する詳細な遺伝子解析が実施された(Tominaga et. al., 2023)。