17:15 〜 18:45
[MZZ46-P08] いといがわサマーロック(石)フェス'23の石に親しむ活動
キーワード:糸魚川ユネスコ世界ジオパーク、石のまち糸魚川、フォッサマグナミュージアム、いといがわサマーロック(石)フェス
新潟県糸魚川市は,地質資源に恵まれた町であり,2009年には,日本初の世界ジオパークに認定されたことで,地質資源を活かした地域開発を実践している.市内を流れる河川である姫川沿いに存在する糸魚川-静岡構造線は,日本列島を地質的に分断する大断層であり,西側(青海地域)には日本が大陸時代に形成された古い時代の地層が,東側にはフォッサマグナを埋立てた新しい時代の地層が存在する.この糸魚川の大地を作っていた地層は,風雨や河川によって削剥され,長い年月をかけて海や川などの自然の力によって糸魚川の海岸に運ばれている.そして,多種多様な石を海岸で探せることから「日本一の石ころタウン」・「石のまち糸魚川」と呼ばれている.
2023年7月1日から8月31日の期間,一般社団法人糸魚川市観光協会が中心となり,行政機関や観光事業者等が参加し,いといがわサマーロックフェス’23(通称:石(いし)フェス)を実施した(図1).これは,ジオパーク活動のほか,県石ヒスイの指定を契機とした「ヒスイ」,「石のまち糸魚川」のイメージを市民とともにブランド化することで,ふるさと糸魚川への愛着と誇りを醸成し,交流人口の拡大と地域経済の活性化を図ることを目的としており,様々な活動を官民一体となって実施している.
石フェスの活動では,DMOである糸魚川市観光協会が広告宣伝やノベルティ製作・配布に関して主体的に活動した.これによって,各団体が個別に広告宣伝を実施していた従来のイベントより情報発信能力が強化された.オープニングイベントでは,糸魚川駅アルプス口を会場とし,サントリー株式会社より特別協賛をいただき,サントリージン「翠(SUI)」とのコラボカクテルの提供,レンガ車庫のライトアップを実施した.石メシとして,市内の飲食事業者や宿泊事業者と連携し,石やヒスイにちなんだ商品開発を実施,期間中の販売を行った.賛同事業者のメニューを写真付きで紹介し,PRを行った結果,参加24店舗,総概算販売数約4,500個,総概算売上約250万円,推定域内消費額が約430万円の実績となった.また,ヒスイカクテルを8店舗で提供し,概算販売数40杯,概算販売数30,000円であった.誘客イベントとして,Instagramを利用した石の顔コンテスト(応募45点),Lineを活用したデジタルスタンプラリーとして6施設で139名が参加した.石をテーマとしたツアーをフォッサマグナミュージアムと合同で造成し,定期観光バス5回(参加94名)とサマーロックツアー2回(参加39名)を実施した.糸魚川の人気アイテムをキーホルダー化しカプセルトイとして販売し,石フェスロゴのキーホルダーをアイテムの1つとして販売した.この街ガチャin糸魚川は,8店舗に設置され総販売数が5,300個であった.
2023年7月15日から9月3日の期間,フォッサマグナミュージアムでは,特別展「石のまち糸魚川展」が開催された.この展示では,ヒスイを含む糸魚川の石を楽しみながら学び,地質の多様性や保護保全の必要性について考える展示会とされた.また、3Dプリンタの活用や床面展示などが実施された.糸魚川で産出するチャートは,放散虫や海綿の骨針などからなる珪質で緻密な岩石である.市内の海岸では,赤褐色から暗緑色のチャートが採取され,ヒスイと誤解されることがあり,来館者の関心を集める岩石である.博物館では,チャートは放散虫の化石からなる岩石であると説明しているが,放散虫は肉眼では観察できない微生物であり,顕微鏡や写真での説明でもその立体的な形状を理解することは難しいことが多い.今回の展示では,新潟大学理学部サイエンスミュージアムの協力を得て,3Dプリンタで立体的に出力した放散虫模型を展示し,実物のチャートと共に来館者が手に取ってその形状を理解できるようにした.これにより,チャートの成因についてより良く理解することができたと考えられる.また,来館者が自発的に採集した石の名前を知ることができる床面展示を実施した.これは,来館者はYes・No形式で床面の質問に答えていくと,石の名前が分かる参加型展示である.そのため,一般的な展示物を見て考える受動的な学びではなく,来館者自らが展示を利用して自発的な学びを促す展示を実施することができた.来場者数は期間中27,403人となり,対前年同期間109%増となった.
今回開催した石フェスでは,関係機関や事業者が合同で広報宣伝活動を実施し,より強い発信力と様々な発信媒体を活用することができた.とくに,目玉事業の一つであった石メシは,石フェス期間終了後もメニューとして販売している商品も生まれた.今後ともより内容をブラッシュアップし,新規事業も取り入れながら,糸魚川のヒスイや石のまち糸魚川のPRを,関係機関や事業者等と一緒になって実施し,糸魚川市の交流人口の拡大を図っていきたい.
2023年7月1日から8月31日の期間,一般社団法人糸魚川市観光協会が中心となり,行政機関や観光事業者等が参加し,いといがわサマーロックフェス’23(通称:石(いし)フェス)を実施した(図1).これは,ジオパーク活動のほか,県石ヒスイの指定を契機とした「ヒスイ」,「石のまち糸魚川」のイメージを市民とともにブランド化することで,ふるさと糸魚川への愛着と誇りを醸成し,交流人口の拡大と地域経済の活性化を図ることを目的としており,様々な活動を官民一体となって実施している.
石フェスの活動では,DMOである糸魚川市観光協会が広告宣伝やノベルティ製作・配布に関して主体的に活動した.これによって,各団体が個別に広告宣伝を実施していた従来のイベントより情報発信能力が強化された.オープニングイベントでは,糸魚川駅アルプス口を会場とし,サントリー株式会社より特別協賛をいただき,サントリージン「翠(SUI)」とのコラボカクテルの提供,レンガ車庫のライトアップを実施した.石メシとして,市内の飲食事業者や宿泊事業者と連携し,石やヒスイにちなんだ商品開発を実施,期間中の販売を行った.賛同事業者のメニューを写真付きで紹介し,PRを行った結果,参加24店舗,総概算販売数約4,500個,総概算売上約250万円,推定域内消費額が約430万円の実績となった.また,ヒスイカクテルを8店舗で提供し,概算販売数40杯,概算販売数30,000円であった.誘客イベントとして,Instagramを利用した石の顔コンテスト(応募45点),Lineを活用したデジタルスタンプラリーとして6施設で139名が参加した.石をテーマとしたツアーをフォッサマグナミュージアムと合同で造成し,定期観光バス5回(参加94名)とサマーロックツアー2回(参加39名)を実施した.糸魚川の人気アイテムをキーホルダー化しカプセルトイとして販売し,石フェスロゴのキーホルダーをアイテムの1つとして販売した.この街ガチャin糸魚川は,8店舗に設置され総販売数が5,300個であった.
2023年7月15日から9月3日の期間,フォッサマグナミュージアムでは,特別展「石のまち糸魚川展」が開催された.この展示では,ヒスイを含む糸魚川の石を楽しみながら学び,地質の多様性や保護保全の必要性について考える展示会とされた.また、3Dプリンタの活用や床面展示などが実施された.糸魚川で産出するチャートは,放散虫や海綿の骨針などからなる珪質で緻密な岩石である.市内の海岸では,赤褐色から暗緑色のチャートが採取され,ヒスイと誤解されることがあり,来館者の関心を集める岩石である.博物館では,チャートは放散虫の化石からなる岩石であると説明しているが,放散虫は肉眼では観察できない微生物であり,顕微鏡や写真での説明でもその立体的な形状を理解することは難しいことが多い.今回の展示では,新潟大学理学部サイエンスミュージアムの協力を得て,3Dプリンタで立体的に出力した放散虫模型を展示し,実物のチャートと共に来館者が手に取ってその形状を理解できるようにした.これにより,チャートの成因についてより良く理解することができたと考えられる.また,来館者が自発的に採集した石の名前を知ることができる床面展示を実施した.これは,来館者はYes・No形式で床面の質問に答えていくと,石の名前が分かる参加型展示である.そのため,一般的な展示物を見て考える受動的な学びではなく,来館者自らが展示を利用して自発的な学びを促す展示を実施することができた.来場者数は期間中27,403人となり,対前年同期間109%増となった.
今回開催した石フェスでは,関係機関や事業者が合同で広報宣伝活動を実施し,より強い発信力と様々な発信媒体を活用することができた.とくに,目玉事業の一つであった石メシは,石フェス期間終了後もメニューとして販売している商品も生まれた.今後ともより内容をブラッシュアップし,新規事業も取り入れながら,糸魚川のヒスイや石のまち糸魚川のPRを,関係機関や事業者等と一緒になって実施し,糸魚川市の交流人口の拡大を図っていきたい.