日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-02] なぜ生物は生体鉱物を作るのか?〜アート思考による科学の進展〜

2024年5月26日(日) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:荒木 優希(金沢大学)、豊福 高志(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、長井 裕季子(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)


17:15 〜 18:45

[O02-P02] アートとデザインを通して科学を社会にひらく方法の探索: サイエンス×アート航海を例として

*豊福 高志1,2長井 裕季子1、椿 玲未3渡邊 晃一6、田口 康大4,5 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構、2.東京海洋大学、3.エウサピア、4.(一社)3710Lab、5.東京大学海洋教育センター、6.福島大学)

キーワード:海洋科学、アウトリーチ、アート、デザイン

アートとデザインという人類普遍的な言語や非言語を通じ、科学コミュニティと世の中とのコミュニケーションを加速したり、開拓することを目的とした取り組みを報告する。「サイエンス×アート」プロジェクトは筆者らが参画したJAMSTECの50周年企画として実施した。複雑で難解なイメージの海洋科学研究に理解を得るには、いくつかのハードルが存在するが、一方でサイエンスの現場の楽しさなどは広く人の心に響く活動である。このプロジェクトは、学術界以外へ到達する科学の伝え方を模索することを目指した。アーティスト、デザイナー、そして科学者など、多様な専門的背景を持つ者が研究船乗船体験や海洋試料を用いた創作活動を行う共同事業として研究航海を行うことを企画した。2021年7月18日から20日にかけて、深海調査船「かいれい」に乗船する様々な分野の人々の参加を募った。航海では、海洋調査業務を現場で直接体験し、参加者が科学的プロセスや遭遇した自然現象からインスピレーションを得る場として活用された。
参加者にとっては、航海の没入的な性質が、参加者から多様な創造的インスピレーションやアウトプットを引き出すこととなった。アウトプットは、デザインや、メディアの垣根を超えた表現まで多岐にわたることになった。
サイエンス×アートの協同によって、科学の楽しさを入り口に、様々な背景の者に海洋科学が認知されると同時に、さらに科学の現場を我が事として友人知人やメディアを介して多数の第三者に情報が伝わる契機となった。このような事業のフォーマットは海洋科学のみならず様々な地球惑星科学に応用可能であると考えられる。これは形態的な特徴でひろく関心を引くことができるバイオミネラリゼーションのアウトリーチにおいても有用であると考えられる。