日本地球惑星科学連合2024年大会

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[O-04] 海洋科学の魅力の伝え方講座

2024年5月26日(日) 09:00 〜 10:30 101 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:原田 尚美(東京大学)、野口 真希(国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球表層システム研究センター)、座長:野口 真希(国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球表層システム研究センター)、原田 尚美(東京大学)

09:15 〜 09:30

[O04-02] 海中天気予報の魅力

*林田 博士1宮澤 泰正1美山 透1馬場 雄也1木戸 晶一郎1 (1.海洋研究開発機構)

キーワード:海況予測、現業海洋学、海洋モデリング、日本沿海予測可能性実験(JCOPE)

海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、2001年から現在まで、日本近海の水温や流れなどの海の状態をもとにした2か月先までの予測に基づく「海中天気予報」を継続的に提供しています。国連が掲げる「持続可能な開発のための海洋科学の10年(2021-2030)」を実現するために、現在世界中では様々な取り組みが行われています。気象予報と比較すると、まだ馴染みの薄い海中天気予報を多くの若者に知ってもらい、研究で活用してもらいたいという思いから、私たちは海洋学を志す学生を主な読者と想定し、海中天気予報に関する解説論文を執筆しました。

この発表では、海中天気予報の魅力を紹介すると同時に、執筆の経緯や工夫、苦労した点についても述べ、海洋科学の10年が掲げる「万人に開かれた海」への貢献活動の一環として、皆さんと情報共有および意見交換ができればと思います。参考までに、次の段落では本解説論文の要旨を記載します。

海洋研究開発機構は、日本近海の水温や流れといった海の中の状態の2か月先までの予測をもとにした「海中天気予報」を2001年から現在まで継続的に提供してきました。本稿では、海中天気予報の仕組み、研究やアウトリーチへの活用、そして今後の展望について、海洋学を志す学生や異分野の研究者・事業者を読者と想定し、できるだけ簡素に解説しました。具体的には、本稿を入門・応用・展望編に分け、入門編では予測の元となる数式、予測精度を向上させる観測データ、用途に応じた多様な予測仕様について紹介しました。応用編では、ブログやSNSによる予報の配信、気象予報への活用、地球全体の1~2年先までの予測への展開について解説しました。展望編では、予報を使い倒す技術開発と新たな予測情報創生に向けた取り組みを力説しました。海中天気予報は、日々の予測情報の提供と技術開発を続けることで、国連海洋科学の10年が目指す「予測できる海」に貢献していきます。