09:42 〜 10:02
[O05-02] 線状降水帯発生に対する地球温暖化の影響
★招待講演
キーワード:線状降水帯、地球温暖化、大規模アンサンブル、ダウンスケーリング
近年の日本においては、毎年のように線状降水帯による災害が発生している。線状降水帯の発生に対して、地球温暖化の影響はあるのか、将来の温暖化に伴って線状降水帯の発生頻度や降水強度が変化するのかは、日本における気候変動リスクの評価や適応政策を考えるうえで重要な要因である。
線状降水帯は、比較的空間スケールの小さな現象であるとともに、発生頻度の少ない現象である。このような現象を気候学的に評価するためには、高解像度の数値モデルによる、大規模なアンサンブル計算が必要になる。本研究では、地球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベース(d4PDF)から格子間隔5kmの領域気候モデルを用いて大規模アンサンブルダウンスケール実験を行い、線状降水帯に対する地球温暖化の影響の解析を行った。その結果、将来の2度上昇・4度上昇の気候下では、現在気候に比べて線状降水帯の発生数がそれぞれおよそ1.3倍、1.6倍となった。また、個々の線状降水帯の総降水量も増加していた。気温の上昇に伴う水蒸気量の増加がこの主要な要因である。一方、成層の安定化や鉛直シアの減少は、線状降水帯の増加を抑制していると考えられる。また、同じシステムを用いて、2023年の線状降水帯の発生についても解析を行い、過去の温暖化によって2023年の線状降水帯の発生確率が増加していたことも明らかにした。
線状降水帯は、比較的空間スケールの小さな現象であるとともに、発生頻度の少ない現象である。このような現象を気候学的に評価するためには、高解像度の数値モデルによる、大規模なアンサンブル計算が必要になる。本研究では、地球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベース(d4PDF)から格子間隔5kmの領域気候モデルを用いて大規模アンサンブルダウンスケール実験を行い、線状降水帯に対する地球温暖化の影響の解析を行った。その結果、将来の2度上昇・4度上昇の気候下では、現在気候に比べて線状降水帯の発生数がそれぞれおよそ1.3倍、1.6倍となった。また、個々の線状降水帯の総降水量も増加していた。気温の上昇に伴う水蒸気量の増加がこの主要な要因である。一方、成層の安定化や鉛直シアの減少は、線状降水帯の増加を抑制していると考えられる。また、同じシステムを用いて、2023年の線状降水帯の発生についても解析を行い、過去の温暖化によって2023年の線状降水帯の発生確率が増加していたことも明らかにした。
