日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

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[O-05] 線状降水帯: 発生メカニズム・予測から防減災まで

2024年5月26日(日) 09:00 〜 10:30 展示場特設会場 (1) (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:佐々 浩司(高知大学教育研究部自然科学系理学部門)、和田 章(東京工業大学)、佐山 敬洋(京都大学)、宮地 良典(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター)、座長:佐々 浩司(高知大学教育研究部自然科学系理学部門)


10:02 〜 10:22

[O05-03] 気象庁が発表する線状降水帯に関する情報について

★招待講演

*大野 洋1 (1.気象庁)

キーワード:気象庁、線状降水帯、集中豪雨

平成26年8月豪雨や、平成29年7月九州北部豪雨、令和2年7月豪雨など、近年、毎年のように線状降水帯による大雨によって人的被害を伴う甚大な災害が発生している。線状降水帯は予測が困難な現象ではあるが、ひとたび発生すると甚大な被害をもたらすことから、その情報発信のあり方について、気象庁では、「防災気象情報の伝え方に関する検討会」における有識者による議論を踏まえ、令和3年6月から、大雨による災害発生の危険度が急激に高まっている中で、線状の降水帯により非常に激しい雨が同じ場所で実際に降り続いている状況を「線状降水帯」というキーワードを使って解説する「顕著な大雨に関する気象情報」の提供を開始した。この情報は警戒レベル相当情報を補足する情報として位置付けられている。
 「顕著な大雨に関する気象情報」については、線状降水帯による大雨の危機感を少しでも早く伝えるため、令和5年5月25日から予測技術を活用してこれまでより最大30分程度前倒しして発表する新たな運用を開始した。この新たな運用開始以降、多くの事例で実際に前倒ししての情報発表ができており、危険な状態であることをより早く伝えることができている。
 また、避難行動を促す観点では、明るいうちから早めの避難を呼びかけることが重要であり、また、避難の準備を適切に進めていただくため、令和4年6月1日より、地方予報区単位で「線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけ」を開始した。現状の予測精度を踏まえ、地方予報区単位での発表としているが、今後、技術開発の成果を活用しながら段階的に対象地域を狭め、令和6年には府県単位で、さらに令和11年には市町村単位で危険度が把握できるよう地図上に分布形式で示す形式での情報提供を目指している。この呼びかけを実施したときには、顕著な大雨に関する気象情報の発表基準を満たさなくとも、実際に大雨となる可能性が高いことから、この呼びかけが行われたときには、大雨災害への心構えを一段高めていただくことが重要であることを気象庁では呼び掛けている。