日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-05] 線状降水帯: 発生メカニズム・予測から防減災まで

2024年5月26日(日) 10:45 〜 12:15 展示場特設会場 (1) (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:佐々 浩司(高知大学教育研究部自然科学系理学部門)、和田 章(東京工業大学)、佐山 敬洋(京都大学)、宮地 良典(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター)、座長:和田 章(東京工業大学)、米田 雅子(東京工業大学)


11:25 〜 11:45

[O05-06] 避難情報の範囲が避難意向に与える影響

★招待講演

*廣井 悠1 (1.東京大学)

キーワード:避難情報、質問紙調査

線状降水帯が発生すると,大雨災害発生の危険度が急激に高まる可能性があることから,気象庁では線状降水帯による大雨が予測される半日程度前から呼びかけを行うことになっている.さらに,大雨による災害発生の危険度が急激に高まると顕著な大雨に関する気象情報が発表されるが,その際,災害が想定される危険な場所にいる住民は市町村が発表する避難情報を参考として,適切な避難行動をとる必要がある.しかしながら,一般に避難情報の発表においては正確性や迅速性,そして詳細性のすべてを両立することは難しく,特に線状降水帯は正確な予測が難しいことを踏まえると,これらの犠牲者を減らすためには状況に応じた適切避難情報の出し方がよりいっそう必要とされる.
本稿ではこのなかでも避難情報対象範囲の「細かさ」に注目して記述する.2019年6月からはじまった防災気象情報のレベル化における本格的な適用事例は2019年の九州南部豪雨と考えられるが,このとき鹿児島市は7月3日の午前9時35分に市内全域の59万4943人を対象に避難指示を発表した.しかし,実際に避難所などに避難した人数は3500人弱で避難率は0.6%あまりであり,このことからも市内全域に避難情報を出すことの是非を検討する必要性はある.一般に,全域など広い範囲に避難情報を発令した場合,住民に危機感をもたせることは難しいものと考えられるが,本研究では,避難情報の対象範囲の呼びかけ方によって,住民の避難意向がどのように変化するかを考える.